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日刊サイゾー トップ > エンタメ > テレビ  > 『あいのり』つまらなさすぎる!
36歳未婚彼女ナシ男の『あいのり』レビュー

『あいのり』シャイボーイ投入で”でっぱりん劇場”が加速……もう、おなかいっぱいです!

『あいのり Asian Journey SEASON2』オフィシャルサイトより

人気恋愛ハウツーブログ「ハッピーエンドを前提として」(https://www.zentei-happy-end.com/)のウイさん(36歳未婚彼女ナシ)が、青春時代に夢中になった『あいのり』の新シリーズをウォッチ! 

<※これまでのあらすじはこちらから>

#19 「キルギスの誘拐結婚」映像で『あいのり』は何を伝えたいのか?

 ラブワゴンはシーズン2最後の国となるキルギスを走ります。ドライバーの友人宅で夕食をごちそうになるメンバー。水餃子のように見える家庭料理が、普通においしそうです。しかし、ほんわかしているのもつかの間、衝撃的な映像が流れます。

 かつて、キルギスで習慣になっていた「アラ・カチュー」と呼ばれる「誘拐結婚」の映像です。男性が、結婚したい女性を拉致するのです。形式上の「拉致」ではなく、本当の拉致です。7年前にアメリカのドキュメンタリー番組が取材したという、実際の拉致の映像が流されます。村に住む18歳の女の子を、その子に惚れた21歳の農家の男性が男友達複数人と協力し、無理やり車に押し込んで走り去るのです。男性の家に着くと、少女は年配の女性たちに取り囲まれ、結婚の説得を受けます。説得は、時には数日に及ぶこともあるそうです。18歳の少女が拉致られ、知らない場所で、知らない大人たちに囲まれ、結婚の説得をされる――。冷静な判断ができる状況ではありません。日本で問題になっている、脅されて無理やりAVに出演させられる女の子を連想してしまいます。

 キルギス政府は1994年にこの制度を禁止していますが、果たして『あいのり』は、これを流すべきだったのでしょうか? 拉致される際、「ママー!!」と、悲鳴と呼ぶには生易しすぎる声にならない声を上げながら泣き叫ぶ少女。拉致する男性の中には笑顔も見えます。少女が車から引きずり出されるシーンでは生脚があらわになり、下着まで見えてしまっています。ストレートに言えば、強姦を連想させるシーンなのです。

 貧困、差別、戦争の傷痕、医療問題……。これまで『あいのり』は世界中の問題を取り上げてきました。地上波の頃からそうでした。これは、理解できます。勉強になることも多いです。でも、それでも、今回の誘拐結婚は流すべきではなかったような気がします。誘拐結婚を取り上げるにしても、実際の拉致現場のショッキングな映像は、流すべきではありませんでした。なぜなら、『あいのり』は恋愛バラエティだからです。その後の番組に集中できないくらい、衝撃的な映像でした。

 番組では誘拐結婚でも幸せな生活を送る夫婦の様子や赤ちゃんを映し、こんなナレーションで締めます。

「決して許されないキルギスの誘拐結婚。しかしそこには『幸せだ』と語る夫婦の笑顔。そして、新しい命が生まれたのもまた現実である」

 だから? なんなんでしょう? 誘拐結婚させられた女性全員が、ハッピーな結婚生活を送っているのでしょうか? さまざまな愛の形があります、というメッセージなのでしょうか? 『あいのり』のキャッチコピー「真実の愛を探す旅」のために必要な映像だったのでしょうか? 僕は、これっぽっちもそう思いません。

 もしそうではなく、世界中で起こっている問題に警笛を鳴らすためであったのならば、誘拐結婚で不幸になっている女性にもフォーカスを当て、問題提起するべきでした。

 前回のレビューから『あいのり』の展開に疑問を感じていることを書いてきましたが、今回が一番理解できませんでした。僕たちが10代の頃に夢中になった『あいのり』は、もう存在しないようです。これは『あいのり』が地上波という「縛りやしがらみ」の多い場からNetflixという「自由が利く」場で進化したのではなく、明らかな退化です。

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