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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > ベッキーが吐露したTVの堅苦しさ
テレビウォッチャー・飲用てれびの「テレビ日記」

ベッキーもポロリ……「正しい」か「正しくない」のジャッジを常に迫るテレビの堅苦しさ

ベッキー

テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(3月10~16日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

ベッキー「アートには、正しい、正しくないのジャッジがない」

 どれぐらい知られた存在なのかよくわからないのだけれど、去年のM-1でトム・ブラウンというコンビが注目を集めた。ただ、まだ売れていない2人は、現在も経済的に厳しい生活をしている。たとえば、ツッコミで長髪の布川の家のテレビは、まだブラウン管である。そんな布川家に液晶テレビを送ったら、どういう反応を見ることができるのだろうか? そんな企画を、15日放送の『金曜☆ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)でやっていた。

 で、新しい液晶テレビの操作方法を覚え、しばらくは画面の鮮明さに酔っていた布川。目が慣れてきたのか、『直撃LIVE グッディ!』(フジテレビ系)を見ていて気づく。

「高橋克実さん、こんなに光ってなかったのにな」

 ブラウン管の粗い画面では見えていなかった高橋克実の頭の光り具合が、液晶テレビになることでハッキリした。布川は高橋の頭を通じて、「スゴいぞこれ」と、液晶テレビの画質の高さに改めて驚愕するのだった。

 話は変わって、ある日の深夜に『ベッキーと未知との対話』という番組をやっていた。テレビ熊本が制作したドキュメンタリー番組で、フジテレビでは8日深夜に放送されていたようだ。僕は関西テレビの13日の放送で見た。

 番組のテーマはダイバーシティ。視覚障害がある学生、聴覚障害がある大学講師、80歳の高齢者、アメリカ人の英語講師、車椅子のジャーナリスト、そしてベッキー。そんな背景が異なる6人が、1日2日の合宿で絵を完成させる。さて、6人の間で何が起きるのか? どんな絵ができるのか?

 6人が初めて顔を合わせ、自己紹介をする時間。コミュニケーションの手段が異なる人たちを前に、ベッキーは丁寧に言葉を選びながら、次のように話した。

「私は2年前に絵を描き始めました。試しに絵を描いてみたら、すごく楽しかった。例えば私がテレビに出る。そうすると、私の発言が正しかった、正しくなかったでジャッジされてくる。でもアートは、正しい、正しくないのジャッジがない。こんなに自由でいられる場所があるんだと思って、絵を描き始めました」

 ベッキーの不倫報道があったのは、2016年の1月。この番組の収録がいつだったのかはよくわからないけれど、今から2年前というのは、すでに謹慎期間を終え、メディアに復帰している時期である。ただ、復帰直後は「あのベッキーが騒動を語る」という感じでバラエティなどへの出演がいくつかあったものの、継続的にテレビで見かけることはなかったころのようにも記憶する。

 その時期、自分の表現が「正しい」か「正しくない」かでジャッジされがちなテレビから少し距離をとったベッキーは、そのようなジャッジから自由な別の表現の世界にも惹かれていた。ベッキーは番組の中で、次のようにも言う。

「私は絵に救われたから、本当に」

 この15年くらいで、多くのテレビはブラウン管から液晶など高画質なものへと切り替わっていった。4K・8K放送も始まった。画面はどんどん鮮明になり、ハッキリと見えるようになってきた。高橋克実の頭も光を増した。

 そんなテレビ画面の高画質化に合わせるように、「正しいもの」と「正しくないもの」をハッキリとジャッジする場面を見ることが、多くなっているような気がする。もちろん、大きな不正の真偽とかはハッキリさせたほうがいい。けれど、むしろあまりハッキリさせなくていいものこそ安心してみんなでハッキリさせているような、そんなことがあるような気もする。

 別にハッキリさせなくてもいいものだってある。高橋克実の頭を8Kで見ても仕方ないだろう。

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