坂口健太郎『イノセンス』再審請求の難しさを忠実に再現! 片岡鶴太郎と星野真里の演技に涙する第8話
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キレイごとで終わらせず……
■キレイごとで終わらせず、社会へ問題提起
今回のストーリーの元ネタは昭和36年に起こった「名張毒ぶどう酒事件」です。これは、小さな集落の懇親会酒席で振る舞われたぶどう酒に農薬が混入され、これを飲んだ女性17人が中毒症状を起し、うち5人が死亡したという事件。犯人とされた奥西勝は死刑判決を受けるも、冤罪を訴え、生前9回も再審請求を起こすも、いずれも棄却。2016年に獄死しました。
結局、再審請求が認められないまま、奥西は亡くなってしまったという事件だけあって、描き方がどうなるのか(ハッピーエンドになるのか、それとも事実のままなのか)、放送前から気にしていたんですが……。放送を見て結論を先にいうと、結構満足しました。
というのも、事実に結構忠実だったのです。事件の内容に脚色はあるものの、再審が受理されない理由や式根と娘の関係などに、実際の事件を取り入れており、これがとてもいい作りでした。
実際に起こった事件を題材にしている作品は多くあるんですが、中でも東海テレビ制作の『約束 〜名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯〜』『眠る村 〜名張毒ぶどう酒事件 57年目の真実〜』『ふたりの死刑囚』という作品ではなぜ再審請求が認められないのか、奥西と子どもたちのその後を伝えていたりするので、多分、脚本を書くにあたり、このあたりの作品を参考にしたのかもしれません。
実際のところ、再審請求は本当に難しい。いくら新証拠を用意しても、認められることはほぼありません。8話でも、それについて冒頭で丁寧に説明しているほか、新証拠を2つも容易して、再審請求に臨み、「おお、これは認められるでしょ!」と希望の光が見えてきたところで、やっぱり棄却という、ドラマらしいハッピーエンドで終わらせず。逆にバッドエンドにしたことで、視聴者にモヤモヤを与え、日本の司法へ危機感を持たせることに成功。司法への関心を高めることができたかと思います。
こういう、再審請求を行う事件の場合、風化して世間が無関心になることが一番危険ですから、現実社会で起こった事件を元にして世間に訴えた今回の内容は個人的に好評価です。
■片岡鶴太郎と星野真里の親子演技に涙
忠実な一方で、大いに脚色された部分も。それは最後の式根と娘の拘置所での再会シーンです。
実際の事件で死刑囚となった奥西には男女の子どもたちがいましたが、事件後、氏名を変えて別々に生活し、一家離散状態に。さらに、刑務所で服役していた奥西に一度も会っておらず、奥西は医療刑務所で一人ぼっちで亡くなったということを以前、ドキュメンタリーで見ました。
それから比較すると、この点は結構な脚色がされており、少しだけ明るい終わり方に。しかし、考えてみれば、現実は悲しすぎる。ドラマだし、少しは明るくしておかないと視聴者もつらいはずですしね。
それに、奥西だって、死ぬ前に子どもたちに会いたかったはず。今回の終わり方は、そんな彼へ向けたハッピーエンドだったのかもしれません。
また、親子役を演じた片岡鶴太郎と星野真里の演技も非常によかった。
特に、星野が、再審請求しようと動きだしたせいでまた世間の注目があつまってしまったと聡子に殴りこんでくるシーン。「中途半端な正義感だけで人の人生振り回すな!」と激怒するんですが、迫真の演技でセリフがジーンと来る!
で、片岡のほうだと、長年、刑務所にいたことで、拘禁反応が現れ、事件以前の記憶しかなくなってしまったシーン。冒頭で暗い印象が強かった分、嬉しそうに娘の誕生日のプレゼントの話をするんですが、このときの顔に涙しちゃいました。
やっぱり、演技力がある俳優・女優だと、いいですね~。前回の川島海荷と比較したら、今回は見やすかったです。
以上、8話のレビューでした。
見ごたえがあり、とても良かった回。今回をきっかけに世間が再審請求や冤罪事件にもっと注目して欲しいと願うばかりです。
次回はついに最終章です。拓の幼馴染みの事件と同様の事件が発生し、幼馴染みの事件にも切り込んでいく様子。まだまだ見逃せません! 放送を楽しみに待ちましょう!
(どらまっ子KOROちゃん)
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