新宿の名物男がドキュメンタリー映画になった!! 映画と美女と酒を愛する仮面の男『新宿タイガー』
#映画 #パンドラ映画館
新宿には早朝と夕方に極彩色の風が吹き抜ける。極彩色の風の正体は、年代物の自転車に乗ったベテランの新聞配達員だ。人は呼ぶ、彼のことを「新宿タイガー」と。お祭りの夜店で買ったタイガーマスクのお面と造花やぬいぐるみが混然一体化した不定形のオブジェを担ぐ姿が、新宿タイガーのトレードマークだ。映画『新宿タイガー』はそんな彼のお面の下の素顔に迫った世界初のドキュメンタリー作品となっている。
新宿で朝を迎えた人や週末は新宿の映画館で過ごす人たちにとっては、おなじみとなっている新宿タイガー。彼が仮面の姿のまま朝刊・夕刊を配る姿は、もはや新宿の欠かせない風景となっている。新宿タイガーが現われると、そのとき街は少しだけファンタジックな空間に変わる。
最近はスマホ世代に「新宿タイガーに遭遇するといいことがある」「新宿タイガーと一緒に写真を撮ると幸せになれる」というちょっとした都市伝説も広まりつつあるらしい。そう、新宿タイガーは“生きた都市伝説”なのだ。街で声を掛けると、親指を立てて陽気に応えてみせる。ISSAよりもずいぶん昔から「いいね!」ポーズで新宿という街をほっこりさせてきた。
初のドキュメンタリー作品となる佐藤慶紀監督は、そんな新宿タイガーの知られざる日常生活を1年の取材期間を費やして追い掛けた。付き合いの長い知人・友人たちが素顔の新宿タイガーについて語る。
まずは新宿タイガーが勤めている新聞販売所の女性所長。新聞社が主催したハワイへの研修旅行に販売所を代表して新宿タイガーが参加した際の逸話が披露される。初めての海外旅行となった新宿タイガーは、このときもいつものファッションだった。彼にとってはこれが正装なのだ。当然ながら税関員から呼び止められたそうだが、マジメな新聞配達員だと分かり、無事ハワイへ入国。帰りは同じ税関員から「新宿タイガーなら、いつでもOKだ!」と見送られたらしい。
映画ファンに愛される井口昇監督も登場する。『電人ザボーガー』(11)や『ヌイグルマーZ』(14)などの泣けるカルト映画で知られる井口監督は、彼自身が熱心な映画マニアでもある。若い頃、かなりレアな映画を求めて新宿の映画館へ通っていたそうだが、劇場に数人しかお客がいないときでも新宿タイガーに遭遇する確率が非常に高かったという。新宿タイガーはめちゃめちゃ映画が好きなのだ。大好きな映画と女優について語り出すと、新宿タイガーは止まらなくなる。映画を鑑賞することが彼のエネルギー源となっているのだ。
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