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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『さすらい温泉』遠藤憲一が大人げない

遠藤憲一の“大人げなさ”を堪能『さすらい温泉』卓球シーンのクオリティにニヤける

さらにデリカシーのない健さん

 失踪しかけるも見つかり、慰める健さんを邪険にする達也。

「そんなでかい口を叩くのは俺を倒してからにしろ」

 まるで同い年の子どものように真正面からぶつかっていく、ただ母親のことが好きなだけの部外者・健さん。

 なぜ倒さないといけないのかはわかないが、口車に乗せられ、健さんに向かっていく相当年下の達也。

 何度か大人げなく子どもを投げ飛ばしたカットから、いきなり2人で並んで神社の階段上に腰掛け、ジュース(湯上り堂のサイダー?)を飲んでいるシーンに。

 無駄な説明をせず、見事に打ち解けた空気を表現した気持ちのいいシーン。

 汚れた身体を洗うため温泉に入りかけた達也の脚の痣を見て、温泉に入りたがらない理由も、卓球を辞めようしてる理由も健さんは理解する。

 恒例のなんでも出てくる四次元トランクから出てきたのは、卓球のユニフォーム。

 前回(第7話)、板前に扮した時も包丁でそうしていたが、今回も2人の前にユニフォームを着用して登場したとき、ずっとラケットを斜めに構えたまましばらく会話していた。

 しかも宴会場の畳の上で卓球のシューズを履いたまま。この猪突猛進ぶりがいい。

 ちなみに、四次元トランクにはビニール製のおもちゃの蛇も入ってました。

それでもデリカシーのない健さん

 達也は卓球のユニフォームを着ていると、どうしても脚の痣を見られてしまい、それを同級生がやんや言ったらしい。子どもは純粋なほど逆に残酷だ。

「なんできれいな身体に産んでくれなかったんだよ!」

 切実な達也の叫びが、今度は若菜を傷つける。

 母親にこの言葉はきつい。しかし、狭い世界で八方塞がりの達也は、それほど追い込まれていたのだろう。

「いいか、勝負ってのはな、痣があるとかないとか関係ないんだよ! 勝つか負けるかだ!」

 いまいちピンと来ない名言らしき迷言を、もっともっぽく叫ぶ健さん。怒っていることは間違いない。

 そして2人の卓球勝負が始まるのだが、スマッシュを決めるなり大声で「チョレーーーイ!」と叫び、拳を突き上げる健さん。

 どこまでも大人げない。最高。今時、なかなか恥ずかしくて言えないワードなのに。

 しかしここまでくるともはや気持ちいい。

 試合は結局、僅差で達也が勝利。

 息を切らしながら、「強いなお前。その才能をお母さんからもらったんだ。感謝しろ?」と言い残し、2人の前から消える健さん。

 親子は会話するかのように卓球をする。

「母と子の静かなラリーはお互いの心を確かめ合っているようだ……」と心の声で良いことを言いつつ、「俺も覚悟ができた……達也くんの父親になる覚悟が……!」と、支離滅裂でサイコな独り言で笑わせてくれる健さん。

 その後に、若菜が来月再婚するとの報告を聞き、絶妙な顔でフリーズしてしまうのもお馴染みだがきれいなオチだ。本当にいい顔をしていた。

 軽く「バイバーイ」と吐き捨てるような挨拶をしていなくなる達也もいいが、フリーズが治らない健さんに素早く寄り添い「いいわね再婚……私たちも……(ハート)」と持ちかけるたくましき若女将も見事。

 今回お色気要因として配置されたはずの岩本と黒川だが、健さんを狙う女将のめげない獣ぶりや、それを面白がって健さんに知らせる仲居・なお(黒川サリナ)のお節介ぶりが大変よかった。どちらも芸達者だ。

 今回さらに笑ったのは、幼い頃から卓球に勤しんできたはずの達也が思いっきり卓球が下手くそだったこと。

 健さんのことが言えないくらい大人げなくて申し訳ないが、あからさまにピンポンレベルのラケットさばきで、逆に笑ってしまった。

 次回は修善寺温泉。

 予告では全裸の女体に「金色夜叉」と書いてある謎のシーンが。これだけで俄然楽しみになりました。
(文=柿田太郎)

最終更新:2019/03/13 19:30
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