第3次Queenブームの今読みたい、時空を超えた盗作スペクタクル 『僕はビートルズ』
#ザオリク的マンガ読み
初っぱなから突っ込みどころが多すぎる、ブッ飛びストーリー
テクニックなら本物よりも上を自任する、自称日本一のビートルズコピーバンド「ファブ・フォー」。そんな彼らに、すごいチャンスが巡ってきました。聖地英・リバプールで開催される世界一のビートルズバンドを決めるイベント、ビートルズ・コンベンションへの出演が決まったのです。
しかし、世界一のビートルズバンドになり、二代目ビートルズになろうとする野望を持つマコトと、コピーバンドからの脱却をしたがっていたレイの意見が対立。コンベンションを目の前にして、レイが脱退を告げるのです。
地下鉄六本木のホームで押し問答になるマコトとレイ、それを静止しようとするショウ。もみ合いになってホームから落ち、あわや地下鉄に轢かれる……というところで、まさかのタイムスリップ。そこはビートルズデビューの前年・61年の吉祥寺でした。
「コピーバンドのくせに、二代目ビートルズって……」「ビートルズのデビュー前年に、都合よくタイムスリップするって……」などなど、この時点でとにかく突っ込みたくなる要素満載です。
盗作のおかげで一躍超人気バンドに
1961年にタイムスリップしたファブ・フォーのメンバーたちですが、マコトとショウがたまたま同じ場所に飛ばされ、一緒に行動することに。この時点で、ほかの2名はどこに飛ばされたのかはまだ不明です。
マコトとショウはラーメン屋でラーメンを食べるも、支払った硬貨に「平成」と入っていたため、偽金疑惑でラーメン屋の大将に警察に突き出されそうになります。そこを助けてくれたのが、流しの演歌ギタリスト「竜さん」。エルビスに憧れて上京したものの、夢破れて流しで演歌を歌う日々の竜さんですが、マコトとショウが歌いだした自称オリジナル曲「イエスタデイ」を聴き、その才能に惚れ込み、俺がビッグにしてやるとばかりにいろいろと世話をし始めます。
ライブの前座で「オール・マイ・ラヴィング」を披露したところ、新進気鋭の芸能プロ・マキプロダクションの社長の目に留まり、プロデビューすることになるのです。
英語の歌詞が敬遠され、大手レコード会社には相手にされず、メンバーも2人だけだったため、当時誰も思いつかなかった自主制作&オーバーダブ録音の手法をマコトが提案。そして完成したレコード「抱きしめたい」はラジオでかかった途端に大ヒット、自主制作のレコードは品切れ。あっという間に謎のバンド、ファブ・フォーの存在は日本中に知れわたります。
その後はストリップ嬢のヒモをやっていたコンタと、工事現場で働いていたレイもバンドに再合流。パワーアップして完全体となり、日本人のミュージシャンながらイギリスのUKチャートで1位と2位を独占するなど、世界を股にかけるモンスターバンドに成長。しかし、その裏で、本家ビートルズはというと……ファブ・フォーの楽曲を聴いたジョン・レノンが自信喪失し、解散状態に陥ってしまうのです。
ビートルズに成り代わって着々と歴史を変えていくファブ・フォーを待っているのは、天国のような世界的スターへの道なのか、それとも地獄のような贖罪の日々なのか……そんな思いが交錯するストーリーとなっています。
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