トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 連載・コラム >  パンドラ映画館  > 白河だるまがモチーフのヒーロー映画
深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.522

特殊能力は何ひとつないけど、最強のヒーロー!! モチーフは白河だるま『ライズ ダルライザー』

ストーリーに影響を与えた、3.11東日本大震災

 後半のシリアスなストーリー展開に影響を与えたのは、2011年3月11日に起きた東日本大震災とその直後に発生した福島第一原発事故だった。内陸部にある白河市は津波の被害はなかったものの、土砂崩れより13名の犠牲者があり、町のシンボルである白河小峰城や多くの家屋が崩壊。原発事故のあった福島県内ということから風評被害による打撃も少なくなかった。また市内には仮設住宅が設けられ、双葉町や浪江町などから避難してきた被災者たちが暮らしていた。和知さんは救援物資を配るボランティア活動に従事しながら、放射能のリスクを考えて家族と共に離郷した人たちと頑なに地元に残り続ける人たちとの間に亀裂が生じていることを身近に感じていた。それまでも地道にダルライザーショーを開いていた和知さんだったが、より多くの人が各地で楽しめるアクション娯楽映画として『ライズ ダルライザー』を自主制作することを決意する。

特殊能力は何ひとつないけど、最強のヒーロー!! モチーフは白河だるま『ライズ ダルライザー』の画像3
左が武術KEYSIの創始者フスト・ディエゲス氏。ネットを通じて、初来日。和知さんをKEYSIインストラクターへと育て上げた。

 和知さんの熱い想いに賛同する、頼もしい海外からの助っ人も現われた。和知さんはダルライザーのキャラクターを考案する際に、クリストファー・ノーラン監督の『バットマン ビギンズ』(05)を参考にしていた。そのメイキング映像を観た和知さんは、ノーラン版『バットマン』シリーズにはスペイン在住のフスト・ディエゲス氏が開発した武術KEYSIが採用されていることを知る。KEYSIは相手を倒すことが目的ではなく、自分の身を守るための護身術。また、フスト氏の座右の銘はスペイン語で「Nunca te rindas(ヌンカ・テ・リンダス)」(※ネバー・ギブ・アップの意)であり、ダルライザーのコンセプトとぴったり一致していた。

 震災と原発事故のことをニュースで知っていたフスト氏は、福島の人たちを励ますことに繋がるのならと和知さんの求めに応じて3回にわたって来日。アクション指導だけでなく、主人公アキヒロを支える道場の師範アレハンドロ役でも出演。ハリウッド映画クラスの本格アクションは、本作の大きな見どころとなっている。

「日本のヒーローは変身して強くなるものがほとんどですが、この映画は負けても負けても何度でも立ち上がる生身のヒーローを描いたものです。選ばれし者だけがヒーローになるわけじゃない、自分にも何かできることがあるんじゃないかと、この映画を観ていただいた方にそんなことを感じてもらえるとうれしいですね。もちろん、風変わりなアクションヒーローものとして楽しんでもらうだけでも充分です。この映画を観た子どもたちがダルライザーの精神を覚えてくれ、20年後や30年後に日本各地の地方都市が今よりもっと元気になっているといいなぁなんて思っているんです」と和知さんは笑う。

 どんな困難にぶつかっても、決して諦めないダルライザー。世界最強の、そして壮大な野心を秘めた真紅のリアルヒーローが福島県白河市で暮らしている。

(文=長野辰次)

特殊能力は何ひとつないけど、最強のヒーロー!! モチーフは白河だるま『ライズ ダルライザー』の画像4

『ライズ ダルライザー -NEW EDITION-』
原作・プロデューサー/和知健明 監督・脚本/佐藤克則 アクション振付/フスト・ディエゲス
出演/和知健明、三浦佑介、桃奈、山口太郎、佐藤みゆき、山﨑さやか、田村論、宮尾隆司、赤城哲也、古川義孝、鈴木桂祐、鈴木裕哉、湯本淳人、緑川順子、フスト・ディエゲス、井田國彦
配給/ダルライザープランニング、アムモ98
(c)2018Dharuriser Plannig
3月9日(土)より池袋シネマ・ロサほか全国順次ロードショー
http://www.dharuriser.com/movie

特殊能力は何ひとつないけど、最強のヒーロー!! モチーフは白河だるま『ライズ ダルライザー』の画像5『パンドラ映画館』電子書籍発売中!
日刊サイゾーの人気連載『パンドラ映画館』
が電子書籍になりました。
詳細はこちらから!

 

最終更新:2019/03/09 18:00
12
ページ上部へ戻る

配給映画