愛する人のため、人はどこまで犠牲にできるのか?――ドラマ『初めて恋をした日に読む話』第8話
#ドラマ #TBS #深田恭子 #どらまっ子 #初めて恋をした日に読む話
大学の認可に絡んだ、国会議員・吉川(平泉成)の不正に、匡平の父親で文科省局長の菖次郎(鶴見辰吾)が関わっていたというのだ。自宅にはマスコミが押しかけ、大騒ぎになる。さまざまなことが重なり、プレッシャーに押しつぶされた匡平は「受験をやめる」とまで言い始める。
学校にも塾にも行かず、一人で勉強を続ける匡平を、東大近くの喫茶店に誘ったのは雅志だった。匡平に「どうしてそこまでしてくれるのか?」と尋ねられた雅志は答える。
「人が動く動機は2つ。自分の幸せのためか、好きな人の幸せのため」
つまり、雅志は、好きな順子の幸せのために、匡平を助けているというのだ。本当に優しい人だと思う。好きな人の幸せのためとはいえ、匡平と順子がうまく行けば、自分が悲しい思いをするかもしれない。それでも、順子がより幸せになるのはどちらなのか、その間で揺れ動きながら、今できる最大限のことをしているのだろう。
不正事件については、山下も動いていた。実は、山下の別れた妻・優華(星野真里)は、吉川の娘だったのだ。吉川に会いに行った山下は、不正の事実を認める代わりに、自分が優華とよりを戻し、政治家として跡を継ぐことにしたのだ。
匡平の父親の疑惑は晴れ、順子も安心することだろう。しかし、山下はそれで良かったのだろうか? もう、順子と結婚することはできない。一番好きな人のために、その人と一緒になることをあきらめたのだ。
雅志と山下、2人の行動は、ある意味「自己犠牲」ということもできる。そして、匡平はそのことに気づいている。では、順子はどうだろう? 意外と、そこまで気が回っていないようにも思う。でも、それも含めて順子が魅力的な女性でもあることは間違いない。
今回は、「先生」という言葉がキーワードになっていた。
最初に出てきたのは、菖次郎が電話で吉川のことを話すシーン。「吉川先生はなんとおっしゃってるんだ!?」と叫ぶ。まずは、国会議員としての「先生」だ。
次は、問題が発覚し、悩む匡平の元を、順子と山下が訪ねたシーン。ここで、匡平は、順子のことを「春見先生」と呼ぶ。自分のことを心配してくれている順子に対する、尊敬の念が、そう呼ばせているのだろう。
そして最後、自分の生涯をかけて、不正を暴いてくれた山下に対し、匡平が声をかける。「山下先生!」。それまで呼び捨てにしていた山下に対し、感謝の思いがこもっていることを感じる。そして、匡平は、そんな思いを素直に口にできる、優しい人間になったのだ。
さて、教師を辞めた後の山下はどうなることだろう。吉川の地盤を引き継ぎ、政治家としてまた違った「先生」と呼ばれるのかもしれない。それもまた悪くはない。
今話では、大学の設置認可に、ヤンキー先生の国政進出など、現実の出来事とリンクするような展開が見られた。時間軸がリアルタイムに近づいてくるのを感じさせるためにも、有効な仕掛けだったと思う。
今回の出来事を通して、それぞれの関係性は、より強くなったと思う。いわゆる「男女の愛情」以上のものを、見つけはじめているのかもしれない。順子の気持ちは、最終的に誰のもとに行き着くのか。深まる絆とともに注目していきたい。
(文=プレヤード)
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