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超問題作を引っさげ、大型新人監督がデビュー!! 発達障害者の性と承認欲求を描いた『岬の兄妹』

超問題作を引っさげ、大型新人監督がデビュー!! 発達障害者の性と承認欲求を描いた『岬の兄妹』の画像4
妹に体を売らせることで、お金を手に入れた良夫(松浦祐也)。思いがけず女衒となるが、妹の悩みや喜びも知ることになる。

■岬の兄妹と福祉との関係

──自主映画『岬の兄妹』で待望の監督デビューを果たすわけですが、今後は?

片山 商業作品を撮る機会があるといいなと思っています。もちろんオリジナルの企画もやりたいですが、自分が気に入っている原作ものも映画にできればいいですね。樋口毅宏さんの『民宿雪国』は大好きな小説なので、なんとか映画化したいです。

──最後にもうひとつ訊かせてください。『岬の兄妹』を観て、「なぜ、この兄妹は福祉に救いを求めないんだ」と疑問に思う人もいるかもしれません。そのことはどう感じますか?

片山 そう思う人は多いと思います。でも、この映画の中では、2人には自分たちの力で生きていく道を見つけさせたかったんです。何でもかんでも社会のせいにしたり、役所に助けを求める主人公には、映画を観ている人たちは魅力を感じないと思うんです。脚本段階では、2人が役所に生活保護の申請を出すけど却下されるシーンや、役所の人が訪ねてきたのに2人は居留守するシーンとかも考えたんですが、それはちょっと違うなと。ケン・ローチ監督の『わたしは、ダニエル・ブレイク』(16)という福祉問題を正面から扱ったとてもいい映画がありましたが、描くならあのくらいガッツリやらないとダメだと思うんです。

──犯罪ではあるものの売春でお金を稼ぐようになり、それまで社会から隔離されるように暮らしていた兄妹の家に明るい光が差し込む。あのシーンはとても印象的です。

片山 もちろん経済的な安定を手に入れたという喜びもあるんでしょうが、それ以上に自分たちの力で生きていける手段を見つけたという希望を感じたことが大きかったと思うんです。そんな2人の心情を視覚的に表現したいなと思ったシーンです。障害を持った兄妹を主人公にしていますが、情報弱者の不憫な家族として描いたつもりはありません。普遍的な物語として、みなさんに観ていただきたいですね。観た方の価値観を変えてしまうような映画になるといいなと思っています。
(取材・文=長野辰次)

超問題作を引っさげ、大型新人監督がデビュー!! 発達障害者の性と承認欲求を描いた『岬の兄妹』の画像5

『岬の兄妹』
監督・製作・プロデューサー・編集・脚本/片山慎三
出演/松浦祐也、和田光沙、北山雅康、中村祐太郎、岩谷健司、時任亜弓、ナガセケイ、松澤匠、芹澤興人、荒木次元、杉本安生、風祭ゆき
配給/プレシディオ R15+ 3月1日(金)よりイオンシネマ板橋、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿バルト9ほか全国順次公開
(c)SHINZO KATAYAMA
https://misaki-kyoudai.jp


●片山慎三(かたやま・しんぞう)

1981年生まれ、大阪府出身。中村幻児監督主催の映像塾を卒業後、オムニバス映画『TOKYO!』(08)のポン・ジュノ監督パート『シェイキング東京』や『母なる証明』(09)に助監督として参加。韓国から日本に戻り、山下敦弘監督の『マイ・バック・ページ』(11)、『苦役列車』(12)、『味園ユニバース』(15)などにも助監督として就いている。監督作として、本多奏多主演ドラマ『アカギ』第7話などがある。

最終更新:2019/02/28 17:28
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