画期的なエコシステム!? ゴミ処理センターでゴキブリ10億匹を養殖、50トンの残飯処理させる
現代社会ではまるで人類の敵のような扱いを受けているゴキブリだが、中国では彼らを益虫として役立てようという試みが行われている。
「聯合新聞網」(2月20日付)などによると、その処理センターは山東省済南市章丘区にある。ゴキブリを飼育している約6,300平方メートルもの広大な部屋は室温が30度以上に保たれ、ひとたび足を踏み入れると、熱風と強烈な臭いに襲われる。同センターに搬送された生ゴミは、まず水と油と固形物に分離されると、ゴキブリが食べやすいように従業員が箸でガラスやプラスチックなどの異物を取り除く。残った固形物は機械で粉砕・攪拌。ペースト状になったところで、ゴキブリの好みに合わせて油脂や水、おがくずなどを加え、水分量70~80%の粘度に調整して、ようやくゴキブリに提供するという手間のかけよう。朝昼晩に加え、午後のおやつに夜食と、1日5食が提供される恵まれた環境だ。
この施設の運営会社会長によると、8年前、300人分の残飯を処理できなくて困っていたところ、娘が見ていたゴキブリのアニメを思い出した。油と腐敗物を好むゴキブリの習性に目をつけ、残飯処理させることを思いついたのだ。早速、さまざまな実験を行ったところ、米州種のゴキブリが、好き嫌いせず、なんでもよく食べることがわかった。このゴキブリを使い、2014年から試験的に毎日1トンの残飯処理を開始すると、章丘区環境衛生センターから処理を依頼され、16年には3億匹のゴキブリで毎日15トンの残飯を処理できるようになり、現在は10億匹に50トンの残飯を処理させている。これは同区で毎日出される残飯の83%に当たるという。
これだけ多くのゴキブリがいると死骸も大量に発生するが、それらは300℃の熱で殺菌し、乾燥させたのちに添加剤を加え、ニワトリの餌にするという。そのニワトリが食用に回されるという部分については抵抗を感じるが、同センターでは食物連鎖が成り立っているのだ。
三重扉などでゴキブリが逃げられないような態勢は整えられているが、専門家は、地震など不測の事態への対策が取られていないと指摘する。確かに地震や台風で建物が損壊すれば、大量のゴキブリが逃げ出しかねない。章丘区が、ゴキブリの街にならないことを祈りたい。
(文=中山介石)
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