【画像アリ】美味すぎるからか? 需要はどんどん増えている昆虫食の本場・伊那で開かれた「美味しい昆虫シンポジウム」
#地域 #グルメ #昼間たかし
やっぱり昆虫は美味いのだ。
一昨年には、本気の昆虫食を展示する「大昆蟲食博」を開催し全国から人が集まる盛況となった長野県伊那市。今でも昆虫が盛んに食される本場で、今度は「美味しい昆虫シンポジウム」が上伊那地域振興局の主催で2月17日に開催された。
伊那谷の内外から、昆虫食を語り倒す熱い人々が集まるという、この催し。会場では、各種の昆虫食が試食・販売されると聞き、さっそく会場の伊那市創造館を訪れた。
実は、近年昆虫食は世界的に熱い。国連食糧農業機関(FAO)が、人口増加による食糧危機に備えて、昆虫食を提唱しているからだ。
講演者のひとり、株式会社昆虫食のentomo代表の松井崇さんは語る。
「コオロギと牛を比較した時に、必要な土地は1:100、水は1:2000。それでいて、栄養価はタンパク質も栄養価もコオロギが圧倒的。昆虫は、いわばスーパーフードなんです。日本でもここ数十年食べていないだけで、今でも世界人口のうち20億人あまりは昆虫食に親しんでいるんですよ」
大正時代の調査では日本でも全国の広い地域で昆虫が食べられていることがわかっている。食されている種類も現在よりずっと多かった。別に昆虫食は伊那谷で続いてきた特異な文化ではなく、たまたま伊那谷では現在まで続いたという見方が正しい。
そんな昆虫の美味さを存分に語ってくれたのは、昆虫料理研究家の内山昭一さん。最初ら「来る時に、車窓を眺めていたら美味しい昆虫がいそうだなあと思いました」と語る内山さん。とにかく料理研究家だけあって、これまで手がけた料理を、美味しそうに語るのがうまい。
「佃煮のイメージが強いざざ虫だが、茹でて酢醤油で食べると美味い」「蚕は油分が酸化しやすいので繭から取り出して食べると美味い」「ゴトウムシ(カミキリムシの幼虫)は、(マグロの)トロみたいで美味い」
……などなど話は止まらない。
この後、登壇した、伊那市を代表するざざ虫研究家の牧田豊さん、地蜂愛好会会長の有賀幸雄さん、駒ヶ根シルクミュージアム館長の中垣雅雄さんも、それぞれに昆虫食の美味さを語り続けたのである。
そんな魅力たっぷりの昆虫食。単にゲテモノ食いではないし、食糧危機のことを考えて、嫌々食べようというわけでは決してない。既にビジネスとしても魅力的な商材になっているのだ。
そんなことを語ってくれたのは、伊那谷の土産物屋に行くと売っている、ざざ虫の佃煮など各種の昆虫食を製造販売している、つかはら信州珍味の塚原保治さんだ。
近年、イナゴの佃煮などは爆発的に売れている。塚原さんは国産のイナゴにこだわっているが(なんと全国シェアの9割近くを取り扱い)、中国からの輸入も行われるようになっている。
名物である、ざざ虫の値段も高騰中。
「台風などで川が荒れた後の年は、収穫量が減るんです。前は一日で5~6キロは獲れていたのですが、今は1キロ程度。ざざ虫漁は、株と鑑札が必要なんですが高齢化で漁師は減っています。技術的には難しくないので、興味がある方はやってみてはどうでしょうか」
そんなざざ虫だが、買い取り価格は1キロあたり6,000~6,500円程度。なるほど、イナゴの瓶詰めは300円なのに、同じ大きさのざざ虫の瓶詰めが1,200円な理由に納得。漁期は冬場だけど、天竜川でざざ虫を獲って暮らすのも悪くないな。
さて、そんな伊那谷の昆虫食だが、なんと3月1日からは、銀座NAGANOで各種イベントと販売が実施される。銀座NAGANOといえば、今や全国で知られる伊那名物のローメンもろくに置いてない「信州」ではなく「長野」が支配するアンテナショップ。これを契機に信州の魅力を多くの人にアピールしてもらいたい。
(文=昼間たかし)
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