サイボーグ演技で話題沸騰! 白石聖が放つ”神聖オーラ”
#女優の花道
EXILE TRIBEを率いるLDHの代表・HIROがエグゼクティブプロデューサーを務める『プリレジェ』は、複数のイケメンがヒロインをめぐって争うドラマだ。『HiGH&LOW』プロジェクトで究極の不良アクションバトルものを作り上げたTEAM HI-AX制作ということで大きく注目された。
キャッチコピーは「王子様が大渋滞」。セレブが集う聖ブリリアント学園を舞台に、セレブ王子、ヤンキー王子、ダンス王子といったさまざまな個性を持った王子たちが登場し、「伝説の王子」を目指して争いを繰り広げる。
白石が演じる成瀬果音は本作のヒロインで、父親の借金を返すためにバイトに明け暮れている。王子たちから想いを寄せられるプリンセス的な存在だが、自分をめぐって王子たちが争いを繰り広げる姿をさめた目で見ていて、どんな王子が口説いてもまったくなびかない。
実際、王子たちが果音を求める理由はそれぞれバラバラで、その何人かはほかの王子に対するライバル意識から彼女を自分のものにしようとする。そんな王子たちの勝手な思惑に対して「男の妄想、押し付けるのをやめてもらえますか?」と果音が全否定することで、王子たちの滑稽さがより際立つのが、本作の面白さである。
『ハイロー』もそうだったが、LDHのプロジェクトには妙な批評性がある。どちらの作品も、作りはとても商業的で豪華な予算をかけて俳優たちを魅力的に見せることに特化した作品なのだが、例えば『ハイロー』なら少年漫画的なヤンキーバトルもの、『プリレジェ』ならイケメンドラマに対するツッコミ目線のようなものがある。
特に『プリレジェ』は、『花より男子』(TBS系)あたりのイケメンドラマが作ってきた、普通の女の子が複数のイケメンから求愛されるという構造を、肝心のヒロインが全否定しているところが面白い。
そもそもイケメンドラマは、かっこいいイケメン俳優たちを見せるために作られている。ヒロインはあくまで引き立て役であり、視聴者がイケメン俳優を鑑賞するための装置でしかない。だから、余計な個性やラブロマンスを描くと視聴者の反発を招きやすいため、扱いがとても難しい。
そんな中、白石演じる果音は、少し怒ったトーンで王子からの寵愛を全否定するので、かわいさよりも凛とした強さのほうが際立っているため、ファンからの反発も少ない。
この、男(王子)に媚びない芯の強さこそが、白石が見せる最大の魅力だろう。
白石は現在、BSスカパー!で放送されている青春ドラマ『I”s』のヒロイン・葦月伊織も演じている。原作が「週刊 少年ジャンプ」(集英社)で連載されていた桂正和の同名漫画のため、少年漫画に登場する中高生が憧れを抱くヒロイン役だが、やはり白石が演じると、肉感的な色っぽさよりも、神聖なオーラのほうが際立つ。
3月には『プリレジェ』の劇場映画も公開される。今後、彼女に対する注目が、より高まっていくことは間違いないだろう。
『絶対正義』にも、範子の娘・律子の成長した姿として再登場する予定だ。白石の怪演が再び味わえると思うと、今から楽しみである。
●なりま・れいいち
1976年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。
◆「女優の花道」過去記事はこちらから◆
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