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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『刑事ゼロ』こじつけの嵐で失笑

『刑事ゼロ』こじつけの嵐で失笑の結末! 『科捜研の女』の箸休め的な作品に?

 今回のケースは、記憶喪失で苦しむ時矢と容疑者とをシンクロさせた展開となったのですが、記憶を失う設定ありきだったためか、終盤はこじつけのオンパレードといった感じがしました。

 何より、薫の行動に疑問点が多かったです。成美が須藤を刺した姿を見て、“先を越された”とばかりにナイフの柄を握りしめるぐらい憎しみが強いのであれば、とっくに刺殺していたんじゃないですかね。それと、この時点で須藤がすでに死んでいたことはどうやって証明できるのでしょうか。もしかしたら、まだ息をしていたかもしれませんよね。それにもかかわらず、すぐさま釈放というのは腑に落ちませんでした。

 また、成美の犯行だったという記憶が蘇った瞬間、「わたしがやりました!」と、薫は時矢に向かって泣き叫んだのですが、このシーンもいまいちピントがずれた感じがして失笑してしまいました。須藤を刺殺した、という行為ではなく、その罪を背負うことが息子の復讐になる、との捻じ曲がった論理に何とも違和感を覚えました。

 そんな短絡的な思考回路の持ち主が、整形して身分を偽り、多くの時間を割いてまで須藤の悪事を徹底的に調査するとは思えません。飛び降り自殺を図ったことについても同じことがいえます。人生を捨てる覚悟をもってまで証拠集めをする執念深い人間が、息子の死の真相を世に示さないまま死のうとしてしまうというのは、行動心理的にちょっと納得がいきませんでした。

 おまけに、成美が須藤からどんな弱みを握られていたのかも明かされず、ただ単に“記憶喪失”というテーマを描きたいがため、リアリティーの無い情報をペタペタとくっつけた結果、いびつな作品になってしまったという感が否めませんでした。

 初回は、登場人物の繋がりが複雑ではあったものの、新たな人気シリーズになるのではないかと期待させる雰囲気があったのですが、回を追うごとにクオリティーが落ちてしまっているような気がしてなりません。

 このドラマは、沢口靖子・主演の人気作『科捜研の女』シリーズに狭まれるカタチで放送されているのですが、このままでは単なる箸休め的な作品として終わってしまいそうです。次回からの巻き返しを期待したいと思います。
(文=大羽鴨乃)

最終更新:2019/02/15 17:00
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