M‐1出場芸人のすごさがわかる、泣けるお笑い芸人マンガ『べしゃり暮らし』
#お笑い #マンガ #ザオリク的マンガ読み
■これはギャグマンガではない、人間ドラマだ!
本作には、当然ながら、漫才コンビがネタを披露するシーンがたくさん出てきます。
「大阪人て、たこ焼き派か阪神ファンかに分かれるもんな」
「何のことやねん!」
「髪の毛には海藻がええらしいで」
「ああ、よう言うね」
「けど、もずくとかやったらわからんでもないけどワカメなんてのせてたらバレバレやで」
「直接のせてどないすんねん!」
コンビの細かなやりとりにおいてもちゃんとボケとツッコミが成立しており、ネタの一つ一つがまるで芸人のネタ帳から出てきたかのような、クオリティの高いものになっています。細部まで手を抜かない森田先生の、お笑いへのこだわりが伝わってきます。
ただしお笑いがテーマのマンガですから、ネタのやりとりに合わせて「ぎゃはは」「ぶははっ」「くすくす」「あはははは」という周囲の笑い声が入ります。マンガの中で先に笑われると、読んでるほうは不思議と笑えなくなります。
まあ、いいんです。これはギャグマンガじゃない! 人間ドラマですから。読んで笑うんじゃなくて、泣くマンガですから!!
■芸人の苦労がしのばれる、リアル挫折エピソード
本作では、若手芸人がブレークするまでいかにしんどい思いをするか、というエピソードがこれでもかというぐらいに盛り込まれています。
主人公の圭右は、高校では笑いの天才と呼ばれるほどの存在ですが、辻本と組んでチャレンジしたNMCの予選で初めての挫折を経験します。プロの漫才コンビたちがひしめく中で、スベり倒します。とにかく、まるっきりウケない。
しまいには漫才の途中でキレて、相方の辻本をステージに一人残して途中退場してしまったり、スベったのは笑いのセンスのない客のせいだと、最悪のセリフを吐いて自暴自棄に陥ります。
しかし、辻本の先輩で、実力派の漫才コンビ「デジタルきんぎょ」金本のアドバイスによって、立ち直ることができたのです。なんだか、実際にありそうなエピソードですね。ちなみに、金本のモデルとなったのが千原ジュニアだそうで、こういう実在モデルのキャラクターがちょいちょい出てくるのもこのマンガの魅力のひとつです。
せっかく立ち直った圭右ですが、その後も東京モンのくせに、ギャグを言う時に大阪弁になってしまうという癖を指摘され、再びスランプに陥ってしまいます。関東人の使うエセ関西弁ってイタいらしいですね。……って、このコラムのことやないか!!
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