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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > テレビのコンプラと『マツコ&有吉』
テレビウォッチャー・飲用てれびの「テレビ日記」

ケンドーコバヤシは「悔しい」と言った……テレビのコンプライアンスと『マツコ&有吉』

たむらけんじ公式インスタグラム(@tamuradojou)より

テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(1月27~2月2日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

 

■ケンドーコバヤシ「もどかしい、悔しい。感情で言うたらそれやね」

 最近のテレビはコンプライアンスが厳しくなっている、みたいなことを聞くようになって久しい。ただ、そういう話は本来、テレビを作っている人たちの間で話されていればいいことだ。視聴者がそういう情報を事前に提供されてテレビを観ているというのは、よく考えると不思議な話である。

 もしかすると、そのあたりの裏事情を差し引いてテレビをお楽しみくださいということなのだろうか。なんだか、プロ野球を観に行ったら、試合前にアナウンスで「今日はローテーションの谷間です。各自お察しください」と言われているような。いや、そうかもしれないけれど、わざわざそちらから言うことじゃない。

 毎回3人の芸能人・著名人が集まりトークを繰り広げる『ボクらの時代』(フジテレビ系)。3日の放送には、大阪NSCで同期生だった陣内智則、たむらけんじ、ケンドーコバヤシの3人が登場した。

 トークの終盤、話題は3人が感じている現在のテレビの苦境に及ぶ。自分たちが子どものころ観て育ったテレビは、ビートたけしの番組をはじめ、なんでもありだった。ただただ何も考えずに笑えた。そして、同じようなことがしたいと思って自分たちも芸人の世界に入ってきた。

 でも、実際に芸人になり、テレビで活躍できるようになった今、テレビの状況はどうだろう? 食べ物を粗末に扱うのはアウトだし、ちょっとしたツッコミで頭を叩いても視聴者からお叱りが飛んでくる。自分たちが恋い焦がれたテレビの世界が、やりたいことができないところになってきている。そんな現状に対し、ケンコバは自分の思いを次のように吐露する。

「もどかしい、悔しい。感情で言うたらそれやね」

 陣内はネガティブな展望を語る。以前のテレビに戻ることはもうないだろう。これからむしろ、もっと厳しくなるのではないか。

 対して、ケンコバはポジティブに切り返す。俺は昔の状況にテレビは戻ると思う。なぜか。

「みんなちょっと嫌気さしてるやん。テレビ業界の人だけじゃなくて、一般の人もしゃべってみたら、今なんかもう『堅苦しい』『息苦しい』って言うてるけどね」

 これからのテレビのお笑い番組が、もっと表現上の制約を受けることになるのか、それとも昔のような状況に戻ることがあるのか、それはよくわからない。けれど、テレビのバラエティ番組の第一線で活躍している芸人が、「テレビはいま厳しいんです」という話をして、それが娯楽として視聴者に提供されるというのは、いまやお馴染みの光景ではあるけれど、なんだか不思議なことだとあらためて思う。

 もちろん、野球ファンがローテーションの谷間への対処を含めてペナントレースを楽しんでいるように、テレビの裏事情を込みで楽しむというテレビの観方もあるのだろう。個人的にはテレビの裏事情的なことをそこまで考慮したくないのだけれど、テレビに関してこうやって毎週書いている僕自体が、そういう楽しみ方とまったく無縁だとも思えない。

 けれど、出演者のほうからテレビの苦境に関する情報が大いにお届けされ、「最近のテレビはコンプライアンスが厳しい」という情報を込みで楽しむテレビ視聴が進むとすると、それはやっぱり、今回の3人が郷愁を覚えていたような「ただただ何も考えずに笑えた」テレビからは、離れていってしまうようにも思う。「ただただ何も考えずに笑えた」テレビの良し悪しの評価は置いておくとして。

 というか、今のテレビが昔よりつまらなくなっているとは思わないけどな。ケンコバも陣内も面白くて好きな芸人だ。たむけんについては、各自お察しください。

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