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日刊サイゾー トップ > エンタメ > テレビ  > 『相席食堂』千鳥のニッチな視点

ローカル番組なのに人気は全国区! 千鳥のニッチな視点を視聴者と共有する『相席食堂』の構造

『相席食堂』(朝日放送)番組公式サイトより

 昨年4月よりレギュラー放送が始まった『相席食堂』(朝日放送)が評判だ。といっても、知らない人もいるかもしれない。この番組は関東圏では放送されていない。なのに、評判なのだ。

 1月2日放送『新春テレビ放談2019』(NHK総合)で、広告付き無料配信サービス「TVer」の話題になったとき、テレビ東京プロデューサーの佐久間宣行はTVerの意義を伝える一例として『相席食堂』の評判の高さに言及していた。配信によってひそかに全国区になったのが、この番組である。

『相席食堂』の内容だが、芸能人が週替わりでリポーターに選ばれ、田舎町にロケへと繰り出す。そして、その町の食堂で地元の人にいきなり相席をお願いし、触れ合う。そのVTRをスタジオにいる千鳥の2人が見守る。言わば、“芸能人と地元民のガチ交流バラエティー”である。

 ここまでだったらほっこりする番組に仕上がりそうだが、スタジオにいる千鳥がクセモノなのだ。気になる箇所があると、即座に手元の“待てぃボタン”を押してVTRを中断。そして、これでもかとツッコむ。こうして彼ら独特の視点を視聴者に紹介し、面白ポイントを共有する。

 この説明だけだとなかなかわかりにくいと思うので、2月3日放送分を振り返りながら解説していきたい。この回のレポーターは松崎しげるであった。

 

■松崎しげるの「黒」を無視して「赤」を柱にする千鳥

 松崎が降り立ったのは富山県南砺市。雪が降り積もり、辺りは白銀の世界だ。そんな場所の真ん中に立っているのが松崎。スタッフはきっと雪の「白」と松崎の肌の「黒」のコントラストを強調し、見どころとして提供するつもりだったはず。何しろ、スタート時の松崎に白のダウンを着せていたし、笑顔になったときの松崎の歯の白さは異常だ。

 しかし、千鳥はそれに捕まらない。2人が前のめりになったのは、松崎が私服に着替えてからだった。松崎は赤のダウンを羽織っていた。しばらく2人は見ていたのだが、耐え切れずにノブがボタンを押した。

ノブ「赤が目が痛いよ」
大悟「今までにない赤やわ。地球上にない赤なんよ」
ノブ「シャアぐらい赤いよ」

 スタッフも予想外だったはずだ。作り手の意図そっちのけで「赤」を柱にし始める千鳥。こうなると、ただの町の景色が面白くて仕方なくなる。向こう側にいる若者は赤い服を着ているし、歩道に設置された棒は赤と白の縞模様だ。松崎が町をただ歩いているだけなのに、千鳥は黙っていられなくなった。

ノブ「ちょいちょい赤が飛び込んでくるの。ごめんごめんごめん、今回ちょっと見れない。うしろの走ってくるお兄ちゃんが赤なのよ」
大悟「棒も赤やしな」
ノブ「今日は黒を言いたいのよ!」
大悟「赤が勝っちょんよ」

 今までの人生で、こんなに赤に注目したことはなかった。実は、町にはたくさんの赤がある。自動車を誘導する標示の矢印は赤だし、工事現場にあるコーンは赤だ。それらが視界に入っただけで笑いがこみ上げてしまう。

松崎「向こうで雪かきやってんな」

松崎が町の人に声を掛けようとすると、その人は赤いダウンを着ていた。

ノブ「赤やん! また赤がいる!」

大悟「全身の赤ロングダウンがおるやん。ロケ中に赤を探せっていう企画なの、今回?(笑)」

ノブ「(ディレクターに向かって)スピルバーグなん、君は? スピルバーグ演出してるやん。白黒で赤を要所要所入れて」

 企画も演出も何も、赤に笑いのツボを仕掛けたのは千鳥自身のツッコミのはずなのだが。

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