ビッグマミィ美奈子『ザ・ノンフィクション』が切り取った現夫の苦悩
2006年から2013年まで通算20回も放送された人気番組『痛快!ビッグダディ』(テレビ朝日系)から、タレント化した「ビッグダディ」こと林下清志さんと、番組後半でビッグダディの妻だった美奈子さん。二人は離婚し、美奈子さんは2015年5月に元プロレスラー・佐々木義人さんと再婚、2017年4月に第七子となる六女を、そして昨年12月には第八子となる七女を出産した。ビッグダディとの離婚直後は、自伝本『ハダカの美奈子』(講談社)を上梓し、メディア露出も多かった美奈子さんだが、最近は育児を中心の日々を送っているようだ。
今月3日に放送された『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)では、「新・漂流家族 前編」と題し、美奈子さんの現在の家族に密着。主に美奈子さんが七女を妊娠している時期の出来事なのだが、ネット上では、美奈子の現夫・義人さんの言動が「モラハラ」ではないのかという指摘が相次いだ。番組後編は10日にオンエア予定となっている。
まもなく36歳になる美奈子さんの子どもは全部で8人。最初の夫との間に誕生した長男、長女、次女、三女、四女。林下氏との間に誕生した五女。そして義人さんとの間に誕生した1歳の六女、0歳の七女で、紛れもない大家族だ。番組は、明るいバラエティ色の強かった『痛快!ビッグダディ』とは違った視点で、大家族を追っていた。
美奈子さんと義人さんは共通の知人を介して出会って交際、美奈子さんがバセドウ病を患ったことがきっかけで2015年5月に入籍している。美奈子さんの子どもたちに懐かれ「いいなってなっちゃった」という義人さんは、美奈子さんが手術で1週間入院した際に子どもたちの面倒を見て「もうほっとけなくなっちゃった」と振り返る。
結婚直後、埼玉県に4LDKの中古住宅を35年ローンで購入。怪我でプロレスを引退した義人さんは現在バスの運転手として働く。自伝本出版やブログ収入、テレビ出演で“荒稼ぎ”したとの噂もあった美奈子さんだが、家計が潤っているわけではないようだ。
結婚や再婚、自身のタレント活動に伴い、子どもたちを連れ、小豆島、宮崎、千葉、東京とまさに「漂流」してきた美奈子さんは、「今が一番平和」「住むところがあるし、ごはんも食べれてるし」「前なんてごはんも……米ないとか」と、現在の生活に幸せを感じているそうで、これ以上結婚で失敗したくないとの思いもある。だが実は、美奈子さんと綺麗好きで正義感の強い性格の義人さんとの価値観は微妙に食い違い、結婚直後から子育てを巡る言い争いが絶えない。
義人さんは年頃の長男、長女との関係に頭を悩ませている。通信制高校に通いながらアルバイトしている長男は義人さんと喧嘩になって家を出た。高2の長女も「お父さんは頭が固い」「今は我慢して、18歳になってひとり暮らしできれば」と距離を置いている。これまで母は離婚と再婚を重ねてきたため、長男は「どうせ1年2年で離婚すんだろ」「お父さんって感覚はない」と冷めた見方だが、義人さんは「何で俺が美奈子と一緒になったかっていうと、お前らをもっと幸せにさせたかったから」「俺は絶対に別れないから」「友達みたいに聞いてやるから」「(困ったことがあれば)言ってきな、親子なんだから」と歩みよろうとする。
ある時、長女の彼氏が家に訪ねてきたことを後で知った義人さんは、美奈子さんに怒りを爆発させ、「なんで内緒なの?」「あいつ(長女)部屋汚いしよ」「俺の家だぞ」などと詰め寄る。美奈子さんは反論するが、「話しても無駄」「気を付けろよって言われたら返事しろよ」と耳を貸す様子もなく、子どもの前で険悪な状態になってしまった。
そんな中で美奈子さんの第八子妊娠が判明。嬉しそうな義人さんだったが「今回が本当に最後だよ」と口走り、美奈子さんは「お前が言うな。その言い方は酷い」と傷ついた様子を見せていた。
昨年6月には、部屋が散らかっていることがきっかけで美奈子さんと言い争いになった義人さんが「離婚」を言い出し、家出。綺麗好きの義人さんは、自分が父親になったからには、子どもたちを清潔な環境で育てたいと考え、こまめに掃除している。だが子どもたちが部屋を片付けないのはしつけが悪いからだと美奈子さんを批判したという。
長男や長女の件でも、美奈子さんが自分の意見をあまり聞こうとしないことに、義人さんは不満を抱いているようだった。一方、美奈子さんは、「妊婦で1歳児がいて、それでも離婚って言い出せちゃうんだ……『わかりました』って言ったの。なんか疲れちゃった」とやり切れない様子だった。
美奈子は自身の反省を「苦労ばかり」と振り返る
美奈子さんの自叙伝『ハダカの美奈子』には、その半生が綴られている。子ども時代は父親に暴力をふるわれ、孤独からヤンキーになり、高校中退後の15歳で妊娠、16歳で第一子出産。第二子妊娠後に入籍したが、夫のDVやギャンブルに苦しみつつも次々と子どもを出産し、離婚している。一度はヨリを戻したが、再びDVに苦しみ、彼女はついに子ども連れてシェルターに避難した。ビッグダディと出会うよりも昔のことだ。
ビッグダディと出会って再婚するも、夫婦のコミュニケーションは円滑にはいかず、あっという間に別居生活となり、わずか2年で離婚。義人さんとの結婚は、美奈子さんにとって4度目(三人目)の結婚だ。美奈子さんは自らを「恋愛依存」と称している。
『ハダカの美奈子』において彼女は、自己弁護に終始し、自らの半生を「苦労ばかり」「波風ばっかの人生」と綴ったが、「あたしはそういう運命なんだろうなって思ってる」と諦めを見せていた。確かに苦労は多かっただろうが、いずれも「相手だけが悪い」というわけではない。
たとえばシンナーや喧嘩、万引き、高校中退などの出来事を「友達のせい」にし、実家を出たくて「中学時代からしつこく求愛してきた、近所で評判のすんごいヤンキー」と、「結婚すれば実家を出られる。結婚するには、子どもを作ってしまえばいい」と考えて結婚。こうした内容が『ハダカの美奈子』には赤裸々に書かれているわけだが、どうにか精神的に自律して生きてほしいと思わずにいられない。
どのような経緯を辿ったにしろ、現在は義人さんと出会い、再婚し、子宝にもまた恵まれた。おそらくだが、義人さんは、ギャンブル狂いで家に金を入れず暴力をふるい(性暴力も)傍若無人だったという最初の夫とも、頑固一徹で変わり者なモテ男のビッグダディとも、タイプが違う。少なくとも番組では、よくもわるくも“普通”の感性の義人さんが、美奈子さんとの家庭を“普通”の家にしたいと望み、良い夫、良い父であるために自分はどうすればいいのか迷い、悩んでいるように見えた。
10日には「新・漂流家族 後編」として、一家のその後が放送される。
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