『刑事ゼロ』名作ミステリーのごった似展開で沢村一樹が“浅見光彦”化?
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一方、サチコが殺される前の行動を追っていた福知は、風力発電事業のために村を売ろうと画策していた森と浅木を追及した結果、飯田親子が殺されてしまったことを突き止めます。
それらの事実から時矢は、サチコに想いを寄せていた羽山が、復讐のために森と浅木を殺したと推測。福井県の山奥から小さなイカダに乗せて死体を流し、ちょうど崖の下の流木が集まる地帯でイカダが破壊。そこに死体が留まることから転落死に見え、しかもアリバイも確保できるというトリックだったのです。そして、羽山がこの推理を認めたことで一件落着となりました。
防犯カメラの映像解析ソフトを操作することで“透明人間”をつくりだす近代的なトリックが用いられた前回から一転して、今回は人里離れた村で起こる古めかしい伝説を見立てた殺人事件の捜査となったのですが、ただ単に名作ミステリーのごった煮といった印象しかありませんでした。
沢村は、ミステリー作家・内田康夫の推理小説が原作の『浅見光彦シリーズ』で主演を務めていた時期があるだけに、そのパロディにも思えました。全体的に緊張感がないですし、記憶喪失という設定もいつの間にか添え物みたいになっちゃっているんですよね。記憶を失う前の時矢とは雰囲気が全然違うのに、周囲の人間はどうして気づかないの? と疑問に思ってしまいます。
これまでの回でも思わず唸るような目新しいトリックは出てきませんでしたが、今回に関してはあまりにチープすぎて愕然としてしまいました。死体を小さなイカダに乗せて流し、ちょうど同じ場所で留まるようにするなんて可能なのでしょうか? 八咫神様もビックリの神業ですよね。
また、羽山は村から車で6時間も離れた福井県の山奥まで村長を連れて行き、そこで殺害したということですが、どうやって誘い出したんですかね? ピクニックへ行こうとでも持ち掛けたのでしょうか? 村で殺害して運んだならわかりますけど、移動の間、2人はどんな会話をしたのだろうかと、そのことばかりが気になってしまいました。
次回は、殺人の容疑者が事件のショックによって記憶喪失になってしまう展開とのことで、時矢が20年分の刑事生活の記憶を失った特異な設定を上手く絡ませることができるか見ものです。というよりも、ここで活かさなければ、ただのよくある刑事ドラマになってしまうので、ターニングポイントになることを期待したいと思います。
(文=大羽鴨乃)
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