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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 深田恭子“無自覚”の才能と強さ

深田恭子“無自覚”であることの才能と強さ――ドラマ『初めて恋をした日に読む話』第4話

 さて、順子に対する匡平の気持ちを知った順子の友人・美和(安達祐実)は、「18歳の誕生日までは、法律的にダメ」と伝える。

 一方、雅志は順子を追いかけて、合宿所の近くにある会社の保養所に泊まりに来る。匡平は、雅志の元を訪ね、順子への思いを確認する。好きであることを告げた雅志に、匡平は言うのだ。「何の問題もなく告白できるなんて、幸せだ」。

 17歳はまだ子ども、そんな思いがあるのだろう。年が離れている自分への歯がゆさもあるのかもしれない。

 合宿中、相変わらず匡平に嫌がらせを続ける鷲津たちは、「匡平がロッジでタバコを吸っていた」と証言する。真偽を確かめるためロッジに向かった順子は、そこで匡平と二人きりになる。

  美和に言われたことを意識してか、匡平は「来年の2月3日、覚えておいて。18歳になるから」と告げる。

 ロッジのシーンでは、燃え上がる暖炉の炎や、ヤカンから吹き上がる蒸気が、匡平のあふれるような気持ちを暗喩していた。なかなか意味深な演出である。

 匡平に腰を抱かれて戸惑う順子が可愛らしい。

 深田恭子の魅力の一つは、戸惑ったような瞳の演技だ。一歩間違えば、わざとらしくなってしまうようなクルクルとした目の動きを、自然にこなしてしまう。

 そしてもう一つ、彼女の話し方にも、秘密があるような気がする。甘えるような、でもしっかりと気持ちを伝える口調と声。アリナミンAのCMで「だるおも~」とつぶやいただけで、そのセリフがしっかりと頭に残ってしまう。そんな声の魅力がある。

 合宿中のキャンプファイヤーのシーン。燃え盛る焚き火越しに、匡平が順子を見つめる。そこに主題歌である、back numberの「HAPPY BIRTHDAY」が流れる。“HAPPY BIRTHDAY”=誕生日。次の誕生日、匡平は18歳になる。そこが物語の最大のヤマ場になるのではないかと期待される。

 最後、インフルエンザで寝込んだ順子と匡平は、手をつないで眠っている。実はここで、ドラマの冒頭に出てきた、美和の店で働くホステス・もんちゃんの「男子高校生と手をつなぐだけで女性ホルモン出そう~」というセリフの伏線が回収されるのである。

 ロッジのシーンでの小道具の使い方や、主題歌の効果的なストーリーとのリンクなど、じっくり見ていくと、気付かされることがたくさんある。それらの仕掛けが、自然に見るものに伝わってくるのが、このドラマの妙なのだ。

 次回以降の展開だが、最後のシーンで、山下の手元には、妻からの離婚届が置かれていた。いよいよ、本格的に、順子への恋愛バトル参戦といったところだろうか。彼もまた、厭世観を漂わせながら、それほど不幸には見えない。

 そうなのだ。このドラマに登場する人たちは、それぞれの事情を抱えつつも、決して不幸ではない。それは、みんながさまざまな形で「恋をしている」からかもしれない。恋愛が全てだと言うつもりはないが、幸せであるための特効薬であることは間違いないだろう。

(文=プレヤード)

最終更新:2019/02/06 20:00
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