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日刊サイゾー トップ > カルチャー  > 『ヒプマイ』同人イベは大盛況?

コミカライズが物議の『ヒプノシスマイク』、同人イベントはお通夜か、はたまた大盛況だったのか?

 話を戻すと、ヒプマイは『Crazy Lyric Battle 2』で見る限り、「消費だんじり祭」真っ最中で山車が曲がり切れず民家を破壊するような元気がハツラツすぎる世代が支えているのだ。金を出すことに意欲的なファンが多い、というのは公式にとってこれ以上ない追い風だろう。覇権は目前だ。

 さらに若い世代は中年世代と違い、体力という天からの期間限定ギフトがある。公式が放っておいても、やれ公式のあのグッズを買った、コラボグッズを買った、コラボカフェ行っただのハイカロリーでつぶやいて、勝手に公式の広報担当もしてくれるのだ。

 ヒプマイが供給を絞っていたころ「ソシャゲはイベントとか日課とか、追うのが大変だから、ヒプマイの供給の少なさって楽でいい(※ただしヒプマイは19年にソシャゲ化も発表している)」という意見があり頷いていた。

 しかし、ヒプマイは一転して過剰供給に舵を切った。最初のスタンスから随分違うが、もしこの転向の理由が「特にそこまで考えてなかったでーす」なら私は泣いてしまうだろうから、まだ「もともとこうするつもりだった。ついてこれん奴は置いていく」という理由であってほしい。

 今のヒプマイのような「若者が支えるジャンル」のパワーと瞬発力は最強と言える。ただ、息の長い老舗ジャンルを見ると、やはり世代にしっかりと幅がある印象だ。「若者も若くない人もいて、新規さんもいつでもウェルカム」というジャンルと、そんなジャンルで楽しそうにしているオタクを見ると本当に幸せな気持ちになるので、同人誌即売会のときは用もないのにいい感じのジャンルのスペースをうろうろ歩いたりしている。ヒプマイは「覇権」から「老舗」に移れるだろうか?

 

■ヒプマイが覇権に近いのは、対抗馬がいないから?

 ヒプマイは『Crazy Lyric Battle 2』を見る限り、豊臣秀吉で言うなら「もうすぐ小田原攻め」くらい覇権は間近だと言える。コミカライズにケチをつけてた勢は傍流だったのかもしれないが、しかし「そもそも、今ヒプマイの対抗馬がいない」という現状も忘れてはいけない。

「ヒプマイのコミカライズの内容が残念だったから、私はオタクをもう引退します」とステージにマイクを置きカタギに戻る気骨のあるオタクはそうは見かけず、たいていあるジャンルに失望したオタクは、別のジャンルに流れていく。オタク趣味はシャブみたいなもので、効き目があり過ぎてほかのもので埋めることができず、簡単に辞められないのだ。

 今のところヒプマイの対抗馬になりうるジャンルは見た限りなく、また、既存の他ジャンルが急に大化けすることも考えにくい。『名探偵コナン』も次の映画に安室さんは出ないようだ。

 3カ月ごとに新アニメは出るものの、アニメの人気は水モノな傾向もあり、第一、3カ月たてば終わってしまう。その点プロジェクトであり、供給タイミングを調整できるヒプマイのやり方はうまい。

 ただ、何もオタク界隈に限らず、ライバル不在の一強状態は胡坐をかきがちになってしまうため、望ましくない。個人的にはこのコミカライズを続けていたらファン層をごっそり持っていかれるとヒプマイ公式が青ざめ、テコ入れに乗り出してくれるような「とんでもないライバル」の爆誕を願わずにはいられない。

(文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

◆石徹白未亜の過去記事はこちらから◆

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最終更新:2019/04/03 13:20
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