『家売るオンナの逆襲』“昭和VS平成生まれ”がテーマも、ゆとり世代をアホに描きすぎ?
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一方、万智が新たに見つけ出した家には、朱美の長年の夢だったという喫茶店を経営するためのスペースがあり、娘夫婦のためではなく自分たちのために資金を使うべきだと提案するのでした。
これに不満を漏らす花に対して、万智はオシャレにリノベーションした団地を紹介。花は大感激し、商談成立……と思いきや、そこへフリーランスの不動産屋・留守堂謙治(松田翔太)が現れ、その部屋が354号室で、以前、健太郎が浮気した“ミヨコ”という女性の名前と語呂合わせで一緒だと指摘したことで、花の気持が萎えてしまうのです。
その花に対して留守堂は、夫婦が揃って好きな歌手・矢沢永吉にちなんだ、同じ団地の“830(ヤザワ)号室”を提供。矢沢グッズだらけの室内を見た花たちは購入を即決し、顧客を横取りされた万智が「負けた……」と呟き、敗北宣言したところで今回は終了となりました。
不動産売買を通じて世間の問題を炙り出す、というのがこのドラマの真骨頂ですが、今回は『昭和のがむしゃら企業戦士VS経済成長を知らない平成世代』という構図が描かれました。
一方は、“24時間戦えますか?”的な流行語のもと、会社のため身を粉にして働くことを善しとして生きてきた世代。一方は、それまでのシステマティックな教育ではなく、自由な発想や多様な価値観を奨励され育った世代です。
今回でいえば、前者が山路夫妻と屋代、後者は鍵村&ゆかりと花&健太郎でした。生まれ育った時代に合ったそれぞれの考え方や価値観があって当然なのですから、本来であればドラマ上であえて甲乙をつける必要はないハズです。
しかし、脚本家の大石静氏が60代ということもあるのでしょうか、なんとなくゆとり世代が悪しざまに描かれていたように思えてなりません。矢沢グッズで占められた部屋の購入を花が即決したのなんて、アホそのもの。エレベーターのない団地で、しかもそれまでワガママ三昧だった花が、4階ではなく8階の部屋を喜々として購入というのは不自然でした。
また、ゆとり世代の権化のように描かれた鍵村とゆかり、特に鍵村のやる気のなさ、己の特性を把握せず、また知ろうとする努力もしないくせに、“俺らしく生きる”と豪語する口ばっかりのキャラ設定は、フェアじゃないように感じました。
いうまでもありませんが、どの世代の人も性格や生き方は千差万別。このドラマに限らず、“ゆとり”という語感だけでやる気のないキャラ付けをするのは、そろそろやめにした方がいいのではないでしょうか。
そんな世代間の対立とは無縁とばかり、今回もひたすら家売ることに奔走した万智ですが、前回に引き続き留守堂に顧客を横取りされてしまい、相当にショックを受けた様子でした。しかも何やら過去に因縁があるらしきこともニオわせていましたから、また次回の展開が気になるところです。
(文=大羽鴨乃)
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