大人らしい大人とはなんだろう?――ドラマ『初めて恋をした日に読む話』第3話
#ドラマ #TBS #深田恭子 #どらまっ子 #初めて恋をした日に読む話
彼女の考える“大人”。それは、自分の行動に責任を持ち、逃げずに正面からぶつかっていく人のようなことだろう。でもそれは、“理想の大人”であって、現実の大人は、えてして要領よく問題からすり抜けていってしまうものだ。“大人”という概念は、捉え方次第で、良くも悪くもなってしまう。
帰り道、順子は偶然、高校の同級生で匡平の担任でもある山下(中村倫也)と出会い、二人で飲みに行くことになる。美和の言った「昔からの知り合い男子」という言葉を思い出した順子は、山下を恋愛の対象と意識し、緊張してしまう。しかし、そこで山下が結婚していたことを知り、激しく落ち込むのだった。一方の山下は順子と会っていたことを、学校で匡平に話す。匡平は二人の関係に嫉妬を感じる。
勉強に興味を持ってもらえるよう、順子は匡平と美香に、古典や歴史について学べる漫画を渡す。匡平は素直に受け取ったものの、美香はそんな順子に反抗する。
「いい先生ぶって、自分が気持ちいいだけでしょ」
このセリフからは、美香の順子に対する嫉妬心が見え隠れする。匡平が順子に思いを寄せていることを知って、悔しさを感じているのだろう。匡平にたしなめられた美香は、やけになり、知り合いの男に連絡するが、優しく答えてくれる人はいない。唯一、過去に付き合っていた家庭教師の水野(森田甘路)だけが、下心を持って、明日会ってもいいと言ってきたのだった。
そんな自分の状況に迷った美香は、塾の教員室を訪ね、思いをぶつける。
「どうやったら自分を好きでいてもらえるのか分からない……」
自暴自棄になった美香は、そのまま水野と会い、ホテルに入ろうとする。そこに順子が現れ、美香を助けるのだった。「好きになった自分に、もっと責任を持ちなさい」そう言う順子に、美香は少しずつ心を開いていく。
一方、プロジェクトが佳境に入った雅志は、仕事で荷物を運ばなければならない日、過労により街中で倒れてしまう。偶然通りかかった匡平らに助けられ、順子も駆けつける。なんとしてもやり遂げようとする雅志を見て、順子は、自分が運転して荷物を運ぶことを決意する。
順子と匡平の助けもあり、無事に荷物を届けることができた。帰り道、休憩している時、雅志はそっと順子を抱きしめ、「好きだ」と告げる。そして、それを匡平に目撃されてしまうのだった……。
今回は、恋愛のシーンが少なかったが、最後に波乱含みの展開を持ってきた。この時点で、匡平は雅志と山下に嫉妬心を抱いており、雅志もまた匡平に同じような感情を持っている。山下だけが、今のところ冷静に順子と接しているように見える。果たして、彼の“結婚”は、今も続いているのか? そのあたりが今後のカギになるだろう。
さて、作中で問いかけられた、“本当の大人”とはどういうものなのだろうか。
配慮しなければならない常識や周囲の目、それでも何かをしたいという自分の思い、それらをバランスよく考え、前に進んでいく人。ある意味、大人的な配慮と子どもじみた感情を両立させている人こそ、本当の意味で大人なのかもしれない。
今週は、字幕を使うなど、面白い演出も見られた。笑って楽しめる部分と、真剣に人生を考える部分、そして恋愛の要素がバランスよく混ざりあったこのドラマ。大人になってしまった人が見ても、これから大人になる人が見ても、役立つことがふんだんに詰まっている。
(文=プレヤード)
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