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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 嵐で思い出すSMAPの「公開処刑」
テレビ辛口研究所

嵐、活動休止の“あたたかさ”と、残酷過ぎた「SMAP解散」「公開処刑」の悲しい思い出

元SMAPの5人

 1月27日、嵐が2020年をもって芸能活動を休止するという発表がなされてから、今もなお連日の報道が続いている。

 活動休止まで2年という十分な期間を設けたことも、ジャニーズ御用達媒体のスポーツ紙などからの報道でなく、ジャニーズネットでもなく、嵐のファンクラブサイト内で真っ先にファンに向けて発表したことも、実に嵐らしいファン思いで誠意溢れるあたたかな対応だった。

 また、いつも通りの嵐として、率直な思いを自分たちの言葉で語り、笑いも飛び交う「笑顔の会見」も、絶賛されている。

「4人でも6人でも嵐じゃない」「誰か一人でもやりたくないと言うことはやらない」

 彼らの決断は応援したいし、発表の仕方も素晴らしい。本当に素敵なグループだと思う。

 おまけに、毎日新聞のTwitterでは、当日、会見に訪れた報道陣に配られた記念の嵐ロゴ入りカップケーキを写真とともにアップしていて、その「おもてなし」ぶりもファンの間で絶賛されていた。最近、YouTubeのジャニーズJr.チャンネルで、「サンデー毎日」(毎日新聞出版)の表紙を飾ったJr.ユニットの「SixTONES」を取材する風景が紹介されていたように、毎日新聞系は仲良し媒体だけに、これもきっと事務所からのアピールだったのだろう。

 とはいえ、ファンを大切にした発表の仕方や、会見の姿勢が素晴らしければ素晴らしいほど、発表&会見に向けた完璧なまでのジャニーズ事務所の用意周到さが感じられ、逆に改めて思い出されてしまうのは、「SMAP解散」の悲しさと「公開処刑」と言われた異様な謝罪会見だ。

 大野智が嵐の活動を終わりにしたいと考え始めた時期は、SMAP解散から半年ほどの時期。にもかかわらず、嵐の会見では「SMAP」に関する質問は全くなく、テレビも活字媒体も、その名前をほとんど流さないし、書かない。今回の報道に関してコメントした識者の中にはもちろんSMAPのことを語った人もたくさんいただろうが、おそらく活字媒体でもテレビでもその箇所はカットされている(実際、カットされた人を知っているだけに、本当にジャニーズ忖度があるのだということを痛感する)。

 一部報道では「SMAPを反面教師として」と指摘されているが、これは正確には「SMAP解散の際の事務所の対応を反面教師として」と書くべきだろう。

 なぜなら誰もがわかっていることだが、SMAPこそが常に自分たちの言葉で語ってきたグループだったのに、「公開処刑」されただけで、「自分の言葉で語る場」は事務所に提供してもらえなかったのだから。

 ここでさらに思い出してしまうのが、未成年への暴行未遂事件により芸能界を引退した元TOKIO山口達也氏のことだ。

 2016年に「離婚会見」を行ったことがマスコミに絶賛された。離婚したこと自体は本人たちの問題であり、外野がとやかく言う必要はないが、かといって会見を「絶賛」する必要もない。そもそも「完璧な離婚会見」って何なのだろうと思っていた。

「自分の言葉で受け答えする姿が印象的」だとか「離婚会見とは思えない清々しい雰囲気」とか「終了後も会場出口に立ち、後にする報道陣一人ひとりに頭を下げた」とか「最後の一人まで本人がお見送りをした」とか「人柄が見えた」とか、当時もかなりおかしな報道だと思っていたが、今になって改めて各報道を読み直してみると、抱腹絶倒である。

「会見」の準備に対する温度差には、事務所がそのグループやメンバーをいかに大切にしているかの差が如実に表れている。

 ジャニーズ事務所の収入の半分以上を稼ぎ出しているといわれる嵐。その存在が他グループとは比較にならないほど大きいことは事実だが、聡明で素敵なグループの決断を、事務所の不自然な対応や過剰な圧力が台無しにしないことを祈るばかりだ。

最終更新:2019/01/31 17:19
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