『家売るオンナの逆襲』LGBT問題を詰め込みすぎて雑な展開に! 腐女子狙いのボーイズラブ演出をプッシュ?
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困った足立は、趣味のフェンシング・クラブで知り合ったフリーランスの不動産屋・留守堂謙治(松田翔太)に相談します。すると留守堂は、智代とみどりに“旗竿地”を紹介し、その特異な立地柄から2人の関係性をオープンにするも閉鎖的に暮らすも自由だと半ば強引に説得し、売却に成功。この様子を盗み聞きしていた万智が、留守堂に対して猛烈な対抗意識を抱いたところで今回は終了となりました。
初回はYouTuber、前回はネットカフェ難民と、社会問題に真っ向から挑む同ドラマですが、今回はLGBT問題を取り上げ、課長の屋代大(仲村トオル)がホワイトボードを使って新人社員の鍵村洋一(超特急・草川拓弥)にレクチャーする場面なんかもありました。
その際、同性愛者や異性愛者も含まれるトランスジェンダーの複雑性に頭を抱えた鍵村に対して万智が、「この世に生まれ出た者の命はみな同じ重さです。天才的不動産屋の私の命も足りない頭でやる気もない売買仲介営業課のお荷物・鍵村の命も同じ重さであるように」と、軽く毒を吐く場面があったのですが、万智と鍵村のキャラを踏まえたセリフで笑いを誘いつつ、メッセージ性の強い言葉を際立たせるという、脚本の妙が光った場面でした。
さらに、「人の気持ちなぞ理解できなくて当然だ。理解し合えると思うことこそ傲慢である」と万智が言う場面もあったのですが、LGBT問題が過剰に取り沙汰されることによって逆に息苦しい世の中になってしまう、という警鐘を鳴らしたセリフだったように思います。
一見すると“家売るマシーン”のような万智ですが、営業成績が優れているのは人心を読む力が抜群に高いためであり、だからこそどんな近しい関係であっても完全に理解し合うのは無理だと達観している。けれど、努力して寄り添うことはできるハズだ、との信念や願いを抱いているように感じました。
ただ、1話だけでゲイ、レズビアン・カップル、トランスジェンダーの問題を抱えた家族を描くのは、さすがに盛り込みすぎだったのではないでしょうか。木村夫妻の娘に勝手に父親の秘密をバラし、娘がそれをあっさり受け入れるという展開は、あまりに強引かつ雑すぎだったように思います。
また、それらに加えて足立と留守堂のボーイズラブ風の演出もあり、同性愛についてかなり濃い内容の回となりました。足立の方が回を追うごとに熱を上げている様子ですが、この先、腐女子を狙った演出をプッシュしていくつもりなんですかね。
その一方で留守堂は、万智のことを嗅ぎ回るため足立に近づいているとニオわせるシーンがあり、真の狙いが気になるところ。次週は『団塊VSゆとり』のジェネレーションギャップがテーマとのことで楽しみに待ちたいと思います。
(文=大羽鴨乃)
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