乳児145人に”期限切れワクチン”誤接種で、高熱や嘔吐の健康被害も……
#中国
中国では近年、偽ワクチンの横行が社会問題となっているが、またもや不祥事が起きた。「ETtoday」(1月14日付)などによると、江蘇省の行政保健機関で、少なくとも145人の乳児に期限切れのポリオワクチンが誤接種されていたことが判明したのだ。期限切れワクチンの影響で全身に発疹が出たり、高熱や嘔吐といった健康被害に見舞われた乳児もいるという。
同ワクチンは「北京北生研生物制品有限公司」が製造したもので、有効期限は2018年12月11日と記載されていた。つまり、1カ月近く期限の過ぎたワクチンを接種されたということだ。当局も事態を重く見ているようで、保健当局者や県職員など17人に免職や党除籍などの処分が下る、大規模な騒動に発展している。
だが、期限切れは今回に限ったことではないようだ。この報道を受け、ある親が過去の記録を見返したところ、子どもが14年6月9日に金湖県人民医院で接種したBCGワクチンの有効期限が同4月8日と記載されているのを発見。病院側に問いただすと、「調査したが、期限切れを使用した事実はない。ワクチンがここから衛生院に運ばれた後に、向こうが日付を書き間違えたのではないか」と、責任転嫁とも取れる回答が返ってきた。同病院では別の子どもに対しても、同じロットのワクチンを同5月13日に誤接種していたことが判明しており、過去をたどれば同様の事例はまだまだ出てくるものとみられ、中国医療行政の適当さが露見した格好だ。
ネットでは当然、非難の声が殺到したが、さらに追い討ちをかけるような出来事が起きた。事件を受け、近隣の淮市洪澤区では緊急会議を招集。その席上で、役人が笑みを浮かべている映像がネット上で拡散されたのだ。同区内で期限切れワクチンの使用は確認されなかったため、「“自分たちは難を逃れてよかった”とでも思っているのか?」といった意見が噴出いている。
不謹慎とはいえ、そこまでの炎上は揚げ足取りのようにも見えるが、日頃の役人に対する不満が爆発したのかもしれない。いずれにせよ、事件の真相がうやむやになることだけは避けてほしいものだ。
(文=大橋史彦)
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事