一度ハマったら最後……脱出ゲームより無理ゲーな「依存症脱出マンガ」の世界
#マンガ #コミック #ザオリク的マンガ読み
年明け早々風邪をひきました。紅白でDA PUMPがU.S.A.を歌ってるあたりから調子が悪くなり始めて、どっちかの夜が昼間になってる頃には最悪の体調になってました。とにかく咳がひどくて病院に行って咳止めをもらったんですけど、全然効かなかったので、市販薬でもっと強力なヤツはないのかなってネットで調べていたら知った衝撃事実。
なんでも、咳止めに使われている成分に麻薬性のものがあり、咳止めの市販薬を大量に摂取するとチョーいい気持ちになるんだとか、咳止め依存症になって1日700錠も飲んでしまい、糖衣のせいでウン◯が真っ白になる人もいるとか、新年早々そんな情報いらないよ!!
というわけで、何がきっかけでクスリにハマってしまうかわからないご時世ですが、そんなことにならないよう、薬物依存症やアルコール依存症の怖さをたっぷりと知ることができるマンガをご紹介したいと思います。
■『マーシーの薬物リハビリ日記』(田代まさし、北村ヂン/泰文堂)
1980~90年代に超売れっ子タレントだった、マーシーこと田代まさし。シャネルズの一員としてデビュー後、コメディアンとしても活躍。「ダジャレの帝王」「ギャグの王様」などと呼ばれて、一躍スターに。ファミコンゲームになったり、原宿にタレントショップを開店させたり、CMで引っ張りだこだったりと、とにかく華々しい活躍ぶりでした。
そんなマーシーが2000年、盗撮疑惑で書類送検され、記者会見で「ミニにタコができる」というタイトルの映像を作ろうとしていたと弁解してスベったのは、今でも芸能界史に残る名シーンでした。その後、芸能界に復帰したものの、覚せい剤取締法違反で3回も逮捕されており、05年と11年には刑務所へ。1億円もの借金を抱え、妻子には愛想を尽かされて離婚などなど、芸能界のほぼ頂点からものすごい勢いですべてを失うという、まさに絵に描いたような「転落人生」です。
『マーシーの薬物リハビリ日記』は、そのマーシーが、仕事のプレッシャーから覚せい剤にハマってしまってしまった経緯や、刑務所時代の過酷な生活などを超ぶっちゃけトークで生々しく告白しているマンガです。
刑務所内での延々続く単純作業、脇見するだけで怒られる状況で「覚せい剤を打てば、めちゃくちゃ集中して作業できるのに!」って思っちゃったりとか……。
薬物依存症リハビリ施設・ダルクの所長に、出所祝いにオゴってもらった食事が「しゃぶしゃぶ」だったとか……。
自分に覚せい剤を流してくれていたヤクザのTさんがダルクに入所してきたので、一緒に薬物を克服しようということで、指切りげんまんしようとしたら、小指がなかった話とか……。
いろいろと細かなギャグエピソードを挟んでくるセンスは、さすが元「ギャグの王様」。あまりにあっけらかんとしたノリのマンガなので、もしかしてこの人、全然反省していないんじゃないの? なんて思ってしまうのですが、むしろ「深刻に反省してます」って感じの真面目な人のほうが、精神を追い詰められて再び薬物をやってしまうそうなので、このくらいの軽めのノリのほうがいいのかもしれません。
「オレだって34年やめてるけど、いつまた使っちゃうかわからないもんね。気持ちよかったもんなぁ~。」
「覚せい剤の気持ちよさは一生忘れられないから、自分の意志で薬物をやめられるなんて考えないほうがいいよ、無理だから」
これらは、ダルク所長の言葉ですが、まさに覚せい剤の怖さを表現しています。薬物依存症は、自分の意志では絶対に治せない病気であると認めることが大事なんだそうです。
本書を読むと、芸能人のアノ人、ミュージシャンのアノ人、元スポーツ選手のアノ人たちが薬物で何度も捕まってしまう本当の理由がわかりますよ。まあ、一番捕まってるのは、ほかならぬマーシーなわけですが……。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事