”わかったフリ”をしない石原良純に学ぶべきこと
#テレビ日記
テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(1月6~12日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。
■石原良純「わからないっていうことが普通だから」
「わかる」ことと「わかった気になる」ことは違う、という話をよく聞く。物事の原因と結果の関係を説明されると、人はなんだかわかった気になりがちだ。たとえば、失業の原因は移民にあるのだと言われると、わかった気になって、移民へのネガティブな感情が高まったりする。事件の犯人はアイツだとうわさが広まれば、真偽はあやふやなまま、ネット上で“炎上”が起こったりする。けれど、それで適切に事態を理解したことになっているかというと、必ずしもそうではない。
石原良純は俳優であり、タレントである。そして、気象予報士でもある。実際に良純が天気を伝えているところを見たことがない人でも、良純の天気予報は外れるだとか、「あさっての天気は明日聞け」と言い放っただとか、そういうことが気象予報士に“あるまじき”言動としてバラエティ番組で面白おかしく伝えられたりするので、気象予報士だということは広く知られているはずだ。
そんな良純が、6日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、2019年の天気はどうなるのか聞かれて、「そういうんじゃなくて!」と怒っていた。
スーパーコンピューターの計算能力の向上などで、短期的・局所的な天気予報の精度は年々上がっているのだという。だからネットでも最近は、30分後の雨量が町丁目の単位で的確にわかったりする。けれど、長期の予報は難しく、3カ月先までの天気しかわからないらしい。だから、“2019年の日本の天気”というような答えようのない漠然としたことを聞かれると、良純は怒る。
また、スタッフに「良純さんって、すぐ『わからない』って言う」と苦情めいたことを言われた良純は、次のように応じていた。
「わからないっていうことが普通だから。わかることが当たり前だと思ってるのがすごく勘違いで、天気予報が全部当たるようになることは絶対にないんだよ」
「わかる」ことと「わかった気になる」ことは違う。本当は、わからないことはたくさんある。なのに、もっともらしい人に、もっともらしい根拠を示されると、人はわかった気になりがちだ。というか、もっともらしい根拠を誰かに示してもらって、わかった気になりたいのかもしれない。
けれど、最新の技術に基づいて導き出された天気予報にだって、わからないことがたくさんある。テレビの中の良純は、「わかる」ことと「わかった気になる」ことの混同に怒っているのかもしれない。何か、もっともらしい人がもっともらしいことを言ったときには、良純の顔を思い出そうと思う。ちょっと暑苦しいかもしれないけれど。
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