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日刊サイゾー トップ > エンタメ  > 星野源が「『紅白』は性別関係なく混合チームで」と語った理由
【wezzy】

星野源はなぜ「『紅白歌合戦』は性別関係なく、混合チームで行けばいい」と語ったか

昨年大晦日に放送された『第69回NHK紅白歌合戦』。21時以降の第2部平均視聴率は前年の39.4%から大きく上昇して41.5%を記録した。そんな好調だった今回の『紅白』の歌手別視聴率ランキングで、サザンオールスターズ(45.3%)、米津玄師(44.6%)に次ぐ数字を残したのが星野源(43.5%)である。星野源は4回目の出演ながらトリに近い23番目の歌唱で、5分近くある「アイデア」をフル尺で披露した。

 また、番組前半では特別番組『おげんさんといっしょ』(NHK)とのコラボコーナーも用意され、高畑充希、藤井隆、三浦大知およびバックバンドのメンバーと共にアコースティック楽器を中心にアレンジされた「SUN」を披露した。

 この『おげんさんといっしょ』コーナーで、星野から印象的な発言があった。

 『おげんさんといっしょ』は、星野源がお母さん、高畑充希がお父さん、藤井隆が娘と、出演者が現実の世界とは性別も年齢もバラバラなコスプレをするコンセプトの番組だが、サザエさん風の衣装とメイクの星野源に対し、「おげんさんって白組と紅組どっちなの?」という質問が投げかけられた際、彼はこのように答えたのだ。

<おげんさんは男でも女でもないから、どうしていこうかしら。だから、思ったのは、紅白もこれからね、紅組も白組も性別関係なく、混合チームで行けばいいと思うの>

 性別によってチームに分かれて戦う『紅白』のコンセプトを完全否定する発言にインターネット上はざわついたが、確かに星野の言う通り、「男」チーム、「女」チームをつくる考え方自体が、もはや現代の感覚から外れた価値観である。

星野源が「Family Song」で示した、新しい家族のあり方
 星野は以前からこのようなジェンダー感覚を表明してきた。

 2017年8月にリリースされた「Family Song」は、これからの時代における、新しい家族のあり方をテーマにした楽曲であった。

 「Family Song」は、タイトル通り普遍的な家族愛を歌った曲だが、歌詞をきちんと読むと、その「家族」がどのようなかたちなのかはいっさい書かれていないことに気づく。

 子どもがいるのかいないのか、おじいちゃん・おばあちゃんと同居しているのかいないのか、さらに、「夫婦」が男と女で構成されているのかも……、歌詞では家族の構成を記すような描写は一言も書かれていない。

 歌詞のなかで「Family」として定義されているのは、「人と人が寄り添って生きている」ということだけである。

 こういった表現の仕方は意図的なものであったようだ。

 

 2017年8月18日放送『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出演した際、星野はトークコーナーで「Family Song」についてこのように説明している。

<歌詞を昔っていうよりも、いまの家族にしたいなって思って色々考えてたんですけど、僕、なんとなく家族って漠然と血のつながりだと思ってたんですけど、よく考えたら夫婦って血つながってないなって思って、だから血のつながりとか関係ないなって思って、たとえば友だちとか仕事仲間もファミリーって言ったりもするじゃないですか。だからそういう広い意味でこれからの時代に向けて、たとえば両親が同性同士っていうのもこれからどんどん増えてくると思うんですよね。そういう家族も含めた、懐の大きい曲みたいなものをつくりたいなって思って>

「Family Song」のミュージックビデオに星野源が込めた思い
 「Family Song」のミュージックビデオは『おげんさんといっしょ』の世界観が踏襲されており、星野源はサザエさん風衣装に身を包んでいるし、お父さん役に扮した高畑充希と、娘の役に扮した藤井隆もゲスト出演している。

 2017年8月1日放送『星野源のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)のなかで星野は、この映像のコンセプトについて、地上波ゴールデンタイムの『ミュージックステーション』以上に踏み込んだ表現で、このように語っている。

<いろんな種類の家族っていうものがこれから普通になっていくんじゃないかなと思っていて。(中略)『サザエさん』的な風景のなかで性別がグチャグチャであるっていうものの未来ももしかしたらあるのかもしれない。で、そういうのも含め、家族っていうものがどんどんどんどん多様化していくなかでっていうものの曲のコンセプトっていうものをまず映像としても示したかったというのがあります>

 2018年は杉田水脈衆議院議員による「生産性」発言があり、つい先日も、平沢勝栄衆議院議員による「性的少数者ばかりになったら国はつぶれる」発言があったばかりだ。

 政権与党の議員が差別的な発言を繰り返す一方で、星野のような日本のポップミュージックのトップを走るミュージシャンが、これからの時代の家族のあり方についてきちんとした発言を積極的に行ってくれるのは、ひとつの希望である。

(倉野尾 実)

最終更新:2019/01/15 07:15
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