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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > “コント職人”ラバーガールの現在地
単独ライブツアー『お前ら愛してるぜ』インタビュー

「お客さんとの距離を詰めたくなってきた」“コント職人”ラバーガールの現在地

――そういう余裕というか、変化を感じるようになったのはいつ頃からですか?

大水 ここ3~4年くらいかなぁ……?

――ちょうど4年前の14年、『キングオブコント』の決勝に出られてますね。

飛永 その頃が、“みんなが思うラバーガール”の延長線上のMAXだったのかなって気はします。

大水 うん……?

飛永 いや、大水さんが引いてると僕しゃべれないから(笑)。

大水 ちょっと、“みんなが思うラバーガール”って恥ずかしいし、「なんだろう、それ」って……。

――(笑)。飛永さんとしてはどういう意味ですか?

飛永 「淡々としてる」とか「テンポがいい」とか言われていて、そのやり方の最高値が14年のKOCだったのかなって思うんですよ。それと同じことをやっても、以降の何年かは「はいはい、あれね」っていう空気が漂っていた感じがします。

大水 賞レースに関してはそうですね。あれが2回目の決勝進出で、以降は同じことをやっててももう無理だろうし、かといって賞レースの雰囲気に合わせたことをやるのも癪だし。だからここ数年は、「今年に1番面白いと思うことをやって、それでダメだったらしょうがないね」みたいに変わってきたかもしれないですね。

飛永 でもその「好きなこと」っていうのが、お客さん寄りになった感じはしないですか? そのへんはどうお考えですか?

大水 あぁ、それはそうね。自分のエゴじゃなくて、「喜んでもらうことが一番好き」みたいに変わってきたのかな。

飛永 全国ツアーもやって、最近は地方営業も増えていて、「こんなに待っててくれる人がいるんだ」「いろんな人に笑ってもらうのって素敵な仕事だな」って、去年すごく感じたんですよ。

大水 ……(笑)。

飛永 俺がそう言っていたら、大水さんとマネジャーがすごい引いてたんだよね。

大水 なんか、しみじみ「お客さんが笑ってくれるって、うれしいことだな」みたいなことを急に言うから、「何言ってんだ、こいつ」って。それは大前提の話だとずっと思ってたから、わざわざ改めて言うことでもないかな、って思った。

飛永 そうか……。とにかく、誰がどう見ても笑える笑いのほうがいいんじゃないかな、ってなってきたのかもしれないです。

大水 確かに、今やってるネタ作りでも、単独ライブの内容で全国を回るのは初めてだから、なるべく投げっぱなしにしないようなネタにしようとはしてますね。

飛永 いつもは単独だと「ちょっと変わったことやってみようかな」って考えるんですけど、今回はなるべくそれをなくして、何も考えずに笑えるネタを多くしようっていうのはありますね。

――今回のツアーは、北は北海道から南は福岡まで合計13カ所と、かなり細かく全国を回られますね。

飛永 北海道は初めてなので、どれくらいお客さんが入るかちょっと不安です。よくファンの方から「北海道には来てくれないんですか?」と言われるのでツアーに入れてみましたけど、これで入らなかったらもう行かないよね。

大水 北海道はライブをずっと続けていくと入るようになるらしいよ。愛着が湧くらしくて。

飛永 それは誰情報?

大水 (東京)03さん。

飛永 問題はさぁ、03さんよりうちらのほうが人懐っこくないじゃん。だから参考にならないかもしれない。「みんなに笑顔を届けたい」っていう気持ちはあるんですけど、なかなか表現が下手なもので……。

大水 去年、03さんのツアーの福岡公演を観に行ったんですよ。そしたら、グッズ買った人全員と握手してて。「◯◯を買った人」とかじゃなくて、なんでもいいから何か買った人全員だから、すごい人数なんですよ。たぶん1回の公演で500人以上と握手してるんじゃないかな。あれはちょっとびっくりした。

飛永 ちょうど僕らも全国ツアーの前半時期だったから、それを聞いて同じようにしたよね。03さんがそこまでやってるんだったら、僕らなんかそれ以上やらないと来ないよ。

――やっぱり03さんの影響は大きいんですね。そしてどうしても最後に聞いておきたいのですが、今回のツアータイトル『お前ら愛してるぜ』はどういう意図で……?

大水 やっぱり引っかかるか。

――そうですね(笑)。前回のツアータイトル「爆笑オンステージ」もネタなのか本気なのかわかりませんでしたが、今回もネットニュースで見たときに「なんで?」と思いました。2人とも言ったことがなさそうな言葉だな、と。

大水 20代のときはつけられなかったタイトルですね。歳とってきて、恥があんまりなくなってきたのかもしれない。さっきも話に出ましたけど、僕らってお客さんとの距離が遠いんですよ。ライブをやっても、勝手にこっちがネタやってるのをお客さんがちょっと離れたところで見てる、くらいの感覚。だからちょっと距離を詰めたいなって気持ちはありますね。

飛永 そうやって距離を詰めようとしてる自分たちが面白いっていうのもあるかもしれないです。わざわざあえて「尖ってないですよ」ってやってる自分たちにハマってるのかも。かっこいいタイトルつけるよりは反響もあるし。

大水 「楽しげだな」って思われればいいですね。

――お客さんとの距離が空いてしまった理由は、どう自己分析してますか?

大水 そんなにサービス精神がないのかもしれない。ネタ中に噛んだりミスったりしたのをいじって笑いにする人もいるけど、そういうことはしたくないという変な尖りがあって、その積み重ねが距離を生んでるんだと思います。例えば、事務所の身内ネタをちょっと入れたらお客さんは喜ぶだろうけど、「それは安いからやめておこう」みたいなことがうちらは多いと思うんだよね。

飛永 確かにね。お客さんいじりもできないし、アドリブも一切ないし。

大水 ライブでネタやって、すごいウケたから乗っちゃって尺が長くなるとか、一切ないよね。

飛永 ない、全然ない。そういう距離の詰め方ができるようになるには、もう何年か必要かもしれないですね。
(取材・文=斎藤岬/撮影=後藤秀二)

●ラバーガールLIVE『お前ら愛してるぜ』
詳細はこちらから
http://www.p-jinriki.com/info/rubbergirl/

最終更新:2019/01/07 16:00
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