2019年はどうなる? 個人情報も売り渡し……練馬区の図書館ストライキで問題になった民間委託の知られざる弊害
#図書館
昨年、練馬区の図書館ストライキ騒動で注目を集めた図書館の民間委託の問題。存外に経費がかかることや、職員の低賃金など、さまざまな問題が噴出した。
とりわけ危惧されているのは利用者の貸し出し履歴などの個人情報が漏れる危険性だ。
従来、図書館関係者らは、利用者のプライバシーには強く注意を払ってきた。かつてアニメ映画『耳をすませば』が上映された時には、天沢が雫の気を引くために図書(貸出)カードを利用しているシーンに抗議も行っている。それも過剰なことかと思いきや、現実にそうしたストーカー行為をする者もいたようで、現在では貸出カードは、ほぼ廃止されている。
日本図書館協会が「図書館の自由に関する宣言」を定めて捜査機関への個人情報の提供に慎重さを求めているのも、よく知られるところだ。
ところが、昨年11月。北海道の苫小牧市立中央図書館が、警察の照会を受けて特定人物の図書の貸し出しや予約状況についての履歴情報を提供していたことが明らかになった。報道によれば、図書館を所轄する市の教育委員会は警察からの要請を受け図書館に指示。そのまま提供したとされている。
これも民間委託の弊害だと、事情を知る図書館関係者は語る。
「苫小牧市立中央図書館は TRC(株式会社図書館流通センター)に委託されています。TRCなんで、当然図書館の原則は知っているでしょうが、業務委託という関係性から、教育委員会の判断に現場から異を唱える声が上がらないわけです。これも、図書館の民間委託が引き起こした事件といえます」
とりわけ住民生活に密接な地方自治体の機関が、個人情報を流出させまくっている昨今。もっと、取りかえしのつかない事態も起きるんじゃなかろうか?
(文=昼間たかし)
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事