『放課後ソーダ日和』『宇宙を駆けるよだか』……WEBドラマが若手女優の活躍の場に?
#女優の花道
一方、Netflixで放送されていた『宇宙を駆けるよだか』は、会員限定のクローズドなサービスだからこそできたハードな青春ドラマだった。物語は一種の入れ替わりモノで、かわいくて明るい女子高生・小日向あゆみ(清原果耶)が、恋人の水本公史郎(神山智洋・ジャニーズWEST)との初デートの日に、ブサイクなクラスメイト・海根然子(富田望生)が飛び降り自殺をするところを目撃したことで、外見が入れ替わってしまう。
あゆみは、唯一自分の言うことを信じてくれた幼なじみの火賀俊平(重岡大毅・ジャニーズWEST)と共に入れ替わった謎を探っていくのだが、その過程で入れ替わったあゆみと然子の気持ちが描写されていく。題材が題材なだけに最初は見ることに抵抗があったのだが、外見と内面をめぐる葛藤を誠実に突き詰めた、青春ドラマの傑作となっていた。
ほかにもParaviでは、堤幸彦演出の人気超能力ドラマの新シリーズであるSPECサーガ完結篇『SICK’S 恕乃抄』、FODとdTVでは野島伸司脚本のドラマ『彼氏をローンで買いました』など、今の民放地上波では困難なドラマが放送されている。
このように同じWEBでもYouTubeと有料配信動画サイトでは違うアプローチで作られている。中でもInstagramのストーリー機能で限定配信された『それでも告白するみどりちゃん』(現在はYouTubeにアップされている)は、WEBならではの映像作品に仕上がっていた。
物語は女子高生のみどり(りりか)が毎回、好きな男の子・谷口くん(中島広稀)にあの手この手で告白するというもの。毎回3分弱と短いため、ドラマというよりは、面白い動画という感じだが、注目ポイントは画面が縦長だということ。スマホで見ることを想定した縦長動画は、女優のフルショットを違和感なく収めることができ、映画やテレビドラマとは違った面白さがある。
この縦長の映像を駆使した表現は、WEBドラマだからこそできる試みだといえるだろう。まだまだ試行錯誤中だが、ここから新しい作品が出てくるのではないかと楽しみである。
●なりま・れいいち
1976年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。
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