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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 2019年注目すべきメジャー洋画!!

イーストウッド88歳の主演&監督作『運び屋』ほか、2019年注目すべきメジャー洋画を一気に紹介!!

■大ヒット作『ボヘラプ』の監督はどうなった?

──ジェームズ・キャメロン製作の『アリータ:バトル・エンジェル』は正月映画として世界公開される予定だったのが、2月22日(金)に公開延期。日本のSF漫画『銃夢』が原作ですが、仕上がりが心配です。

飯塚 予告編の公開以降、ヒロインの眼の大きさばかりが話題になっています。いくらヒロインがアクロバティックな動きを見せても、「アニメでしょ」と思われてしまいますよね。ロバート・ロドリゲス監督がこちらの想像を上回るサプライズを用意していることを期待しましょう(笑)。米国では『アリータ』の正月公開が間に合わなかったことで、20世紀フォックスが『デッドプール2』をR指定からPG13に再編集したものを急遽上映するなど、対応に苦慮したようです。日本では『ボヘミアン・ラプソディ』が大ヒットしているので、逆にお正月のスクリーンが空いてラッキーでした。『ボヘラプ』の日本での熱狂ぶりはすごく、日本での興収75億円を射程距離に置いています。世界的に見ても、日本での『ボヘラプ』人気はすごいことになっています。

──日本で大絶賛されている『ボヘラプ』ですが、ブライアン・シンガー監督について触れたニュースはあまり聞かないんですが……。

飯塚 ブライアン・シンガーは監督としてクレジットは残っていますが、撮影途中で降板して、俳優でもあるデクスター・フレッチャーが残り2週間分を撮って完成させています。トラブルを起こしたブライアン・シンガーは、ディズニー配給になる『X-MEN』シリーズからも外されるでしょう。ディズニーはゴシップを嫌いますから。ディズニーといえば、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(14)のジェームズ・ガン監督を過去のツイッター上の暴言を理由に、『ガーディアンズ』シリーズから降板させたことも話題になりました。マーベルユニバースである『ガーディアンズ』を降ろされたジェームズ・ガンですが、ライバルであるDCコミックの『スーサイド・スクワット』(16)の続編の脚本に起用され、監督も務めることになりそうです。まるで笑い話のようですが、『ガーディアンズ』のキャストの中には『スーサイド・スクワッド』に出たがっているジェームズ・ガン支持派が少なくないようですね。転んでもただでは起きないところは、さすがジェームズ・ガンです(笑)。

リメイク版『サスペリア』のポスター。音楽がトム・ヨークなのも話題。日本での公開は1月25日(金)から。 (c)Courtesy of Amazon Studios

 

■ハリウッドの新トレンドは、Jホラーの影響?

──ダリオ・アルジェント監督が撮ったカルトホラー『サスペリア』(77)のリメイク版が、日本では1月25日(金)から公開されます。これって米国では劇場公開されたんでしょうか?

飯塚 『君の名前で僕を呼んで』(17)のルカ・グァダニーノ監督がリメイクした『サスペリア』はAmazonが出資した作品で、米国では2018年10月に限定公開されただけです。銀座シネパトスでひっそり上映されたみたいな感じですね(笑)。ホラーファンにとっては特別な作品なので、ひょっとしたら興収トップ10に入るかなと思っていたんですが、いかせん公開劇場数が少なすぎました。配信を前提に製作された作品なので、仕方ないのかもしれません。今後は劇場公開はなくて配信のみ、パッケージ化もされないという洋画が増えてくるかもしれません。日本にはオリジナル版『サスペリア』の熱狂的なファンが多いので、劇場公開で盛り上がってほしいですね。

──米国では『イット・フォローズ』(14)、『ドント・ブリーズ』(16)『ゲット・アウト』(17)など新感覚のホラー作品が人気を集めています。

飯塚 ホラーとサスペンスの中間みたいな作品が米国では当たっていますね。日本では11月に公開された『ヘレディタリー/継承』も、新しいタイプのホラーとしてかなり話題を集めました。『イット・フォローズ』や『ドント・ブリーズ』は出来がよかったし、『ゲット・アウト』は大ヒットし、アカデミー賞脚本賞まで受賞しています。ホラーなどのジャンル映画を低く見ていた認識が、米国人の中でもずいぶん変わってきているようです。

──不条理な物語『イット・フォローズ』などは、Jホラー映画の進化形のような印象を受けました。

飯塚 Jホラーの影響は確実にあるでしょう。Jホラーが種を蒔いて、海外で予想以上に大きな花を咲かせているような感じがしますよね。Jホラーブームの発火点となった鶴田法男監督は、現在は中国で撮った新作が公開待機中だそうです。内容はまだ明かせないそうですが、鶴田監督が恋愛ドラマを撮るとは思えないので、ホラーファンは期待しますよね(笑)。鶴田監督だけでなく、中国資本で映画を撮るホラー系の日本の監督はけっこういるようです。ホラー出身監督といえば、ジェームズ・ワン監督の『アクアマン』が日本では2月8日(金)に公開されます。低予算ホラー『ソウ』(04)でデビューしたワン監督が、『ワイルド・スピードSKY MISSION』(15)を経て、大作『アクアマン』を撮るなんて、感無量です。ワン監督がプロデュースしている『死霊館』『インシディアス』シリーズも面白さをキープしているので、『アクアマン』の出来映えも楽しみです。

シネスイッチ銀座ほかで公開中の『家へ帰ろう』。アルゼンチンで暮らす88歳の仕立て屋が、友人との約束を果たす感動のロードムービー。 (c)2016 HERNANDEZ y FERNANDEZ Producciones cinematograficas S.L., TORNASOL FILMS, S.A RESCATE PRODUCCIONES A.I.E., ZAMPA AUDIOVISUAL, S.L., HADDOCK FILMS, PATAGONIK FILM GROUP S.A.

 

■ホームシアター派に推したいSF官能ホラー

──オススメ映画はまだまだありそうですね。

飯塚 アカデミー賞絡みで挙げるなら、ヨルゴス・ランティモス監督のコスチュームもの『女王陛下のお気に入り』(日本では2月15日公開)もノミネートは固いでしょう。賞レース以外では、『トランスフォーマー』シリーズの最新作『バンブルビー』(日本では3月22日公開)が面白そうです。『トランスフォーマー』はシリーズが進むにつれてごちゃごちゃしてきましたが、これは少女とバンブルビーとのシンプルな友情ものなので、予告編を観た限りでは期待できそうです。ヒロイン役のヘイリー・スタインフィルドは作品選びがうまいので、脚本もきちんとしているんじゃないかと思います。『バンブルビー』にも出演しているジョン・シナ主演のコメディ『Blockers(原題)』は米国ではヒットしたんですが、日本での配給が決まっていないのが残念です。ハリウッド作品ではありませんが、僕が個人的に推しているのがスペイン・アルゼンチン合作映画『家(うち)へ帰ろう』。SKIPシティ国際Dシネマ映画祭コンペ部門の一次審査員をしている関係で毎年100本ほど海外からの応募作品を観ていますが、2018年の観客賞を受賞した『家へ帰ろう』は素晴しい作品です。日本では12月22日から公開が始まったばかりなので、劇場で感動体験をしたい方はぜひ足を運んでみてください。

──週刊誌「SPA!」(扶桑社)で「飯塚克味のボーナス・エイゾーに乾杯!」を連載されていた飯塚さんですが、最近のオススメのパッケージものは?

飯塚 11月にキングレコードからブルーレイとしてリリースされた『スペースバンパイア〈最終版〉』の特典インタビューがよかったですね。バンパイア役のマチルダ・メイの堂々としたヌード姿が強烈だった『スペースバンパイア』(85)ですが、本人へのインタビューによると当時のマチルダ・メイは脱ぐことは納得していたものの、どんな役か説明されないままカメラの前に立たされたそうなんです。そのことを恥じらいながら語る表情がいいんですよ(笑)。WOWOWの『週刊ハリウッドエクスプレス』の年明けは1月12日(土)午前10時30分、いつもよりちょっと早く始まるので、こちらもよろしくお願いします。
(取材・文=長野辰次)

●飯塚克味(いいづか・かつみ)
千葉県出身、日大芸術学部卒業。フリーの映像ディレクターとして、WOWOWの映画情報番組『週刊ハリウッドエクスプレス』の演出などを担当。映像ソフトライターとして「DVD&動画配信でーた」(KADOKAWA)などでも執筆中。

最終更新:2019/01/02 21:00
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