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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > ほどほどYouTuberに聞く
『無駄なことを続けるために ~ほどほどに暮らせる稼ぎ方~』発売記念インタビュー

売れない芸人の意外な才能がYouTubeで開花! 「無駄づくり」発明家・藤原麻里菜のほどほどな生き方

無駄なことを続けるために』(ヨシモトブックス)

■YouTuber一本にしたほうが、道が開けるんじゃないか!?

――そんな頃、よしもと内で「YouTuberのオーディション」が行われたそうですけど、YouTuberなんて勝手になるもんじゃないですか?

藤原 私自身もそう思っていましたが、よしもとから経費を支援してもらいつつ、YouTuberになれる「オーディションに受かった人だけYouTuberをやっていい」という企画だったんです。5年前なんでYouTuberも今ほど知られてなかったんですけど、「何かのチャンスになれば」くらいの感じで、若手芸人はほとんど、そのオーディーションを受けていました。

――オーディションでは、どんなことを?

藤原 その場で企画を書いて、「家の中にあるものでピタゴラスイッチを作る」「商店街の婦人服屋に行って、今風のコーディネートをする」みたいなものを提出したら、「ピタ
ゴラスイッチ、いいね!」と言われて、YouTuberになれる50組に選ばれたんです。でも、工作なんてやったことないし、ピタゴラスイッチなんて作れなかったので、無駄なものを作る「無駄づくり」に方向転換しようと。

――特に工作がやりたかったわけではなく「たまたま選ばれた」だけだったんですね。

藤原 当時、お笑いをやってても全然褒められなくて……。そんな時にYouTubeで「無駄づくり」をやったら、社内での評価がよかったんです。……というのも、ほかの芸人さんはネタ動画みたいなものばっかりだったんで。

――まあ、普通はそうなりますよね。

藤原 私はヘンな工作を作る、シュールすぎる動画だったんで逆に目立って(笑)。

――最初から再生数もよかった?

藤原 初期に「再生数を伸ばすためには下ネタをやれ」って言われて、「乳首を永遠に気持
ちよくさせる装置」を作ったんです。みんなYouTubeで「乳首」って検索するんでしょうね。すぐに1,000再生くらいまで行った記憶があります。ド素人なんで、イメージしたものが全然作れないし、メチャメチャ時間もかかるし……工作するのはつらかったんですけど、だんだんと自分の中で好きなものになっていったという感じですね。

――芸人よりも「無駄づくり」のほうが向いているんじゃないかと?

藤原 私、水道橋博士の本とかを読んでいたんで、中途半端にYouTuberをやっているのが、自分の中で許せなくて……。だったら芸人をスパッと辞めて、YouTuber一本にしたほうが、道が開けるんじゃないかと。

――でも結果的に、今でもよしもとに所属しているんですよね?

藤原 偉い人に「辞めたいです」と言いに行ったら「ここは興行会社だから、芸人じゃなくてもいいんだよ。面白いことをやりたいんだったら、絶対ウチにいたほうがいいから」って言ってもらえたんです。

――YouTuber一本に絞るに当たって、何か戦略はあったんですか?

藤原 とりあえず「新しい面白いことをしよう」とは思っていました。そうなると技術が
必要になるので、電子工作の勉強もして。

――面白い工作というと「見た目を面白くする」という方向もありますけど、中身を工夫
する方向に行ったんですね。今でも、ガワはわりとガラクタみたいですし……。

藤原 そうですね、骨組みだけで(笑)。私が作る工作は、コンセプトが面白いのはもちろん、それとは別の軸で「ヘンな動きをする」という面白さも出したいと思っていて。そういう意味でも、電子工作のほうが向いていると思ったんですよね。

――工作のテーマとしては「鬱屈した感情」が大きいということですが、普段、そんな
に鬱屈してるんですか?

藤原 してますね! 「人に対してメチャメチャ嫉妬心が強い」とか「承認欲求がすごい」とか。生活している中で、格好つけている自分が嫌になったり、ダメな自分に気づいたりした時に、「無駄づくり」として昇華させるとスッキリするんです。

――「壁ドンされたいけど相手がいないから、マシーンを作った」みたいに、欲望を具現
化した工作が多いですけど、別にマシーンに壁ドンされたところで欲望は解消されないで
すよね……?

藤原 されないですね(笑)。「こういう欲望を抱えて、こんなモノを作っているヤバい女がいる」みたいなところまで含めて、ネタとしてウケれば満足です。ウケなかったら、またフラストレーションがたまりますけど。

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