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日刊サイゾー トップ  > 『青春高校3年C組』ライブレポ
“生涯ドルヲタ”ライターの「アイドル深夜徘徊」vol.20

10代男女の成長物語がここに!――『青春高校3年C組』その魅力とウインターライブレポート

中井りか 公式Twitter(@rika_nakai823)より

■熱気と感動に包まれた3時間

 開場時間の17時半頃、会場である中野サンプラザに到着すると、すでに大勢の客が集まっていた。ちなみにチケット(およそ2,000枚)はソールドアウト。年末の忙しい時期ではあるが、多くのファンが、彼ら彼女らの発表を見届けようと思っていたのだ。

 入場待機列を眺めてみると、若い男女が多い。皆、自分の現在を、生徒たちに重ね合わせているのかもしれない。入口で、生徒手作りのパンフレットを受け取り、会場に入る。

 注意事項のアナウンス、前説をそれぞれ担当の生徒たちがこなしていく。いずれも、プロとは一味違う初々しさが微笑ましい。

 定刻を15分ほど押して、開演。幕が上がると、出演者の生徒たち31人、そしてMCの中井りか(NGT48)、岩永達彦(ノブナガ)が登場。多くのステージを経験している中井だが、生徒たちかうまくできるかどうか心配で緊張しているという。

 簡単な挨拶の後、まずは、夏に作られた、それぞれのユニットの楽曲披露となった。

 トップバッターは、軽音部。小峠が学生時代に作った曲をベースにした「うるさいうた」を披露する。8月の文化祭に比べ、レベルが上がっているのはもちろんだが、新メンバーが加わり、音に厚みが加わった。特に、上島陸歩のヴァイオリンが、魅力的な音を奏でていた。

 ここで、客席に来ていたMC陣、三四郎の小宮浩信と相田周二、そして安藤なつ(メイプル超合金)が挨拶する。今回相田は、ダンスボーカル部のセンターを務めるということもあり、気合が入っている。

 続いて、企画ユニットが「バトラー」、ダンス&ボーカル部が「Leave it to me!」をパフォーマンス。どちらも新メンバーが加わっているが、クオリティは前回以上。それぞれの熱意が感じられた。

 そして、アイドル部が登場し「チャイムの途中で」を歌う。こちらは、前回の7人から9人に増員。華やかさが増した印象だった。客席からも、色とりどりのペンライトが振られ、彩りを添えていた。

 ここからは、かくし芸的なステージが続く。まずは3人組の漫才部。台本もメンバーで書いたという、ドライブデートを題材にした漫才は、テンポもよく面白かった。そして、MC・中井りかも加わってのコント部。アイドルの握手会という設定で、中井のスキャンダルをネタにしたストーリーは大ウケだった。

 前回賛否両論あったマリンバ演奏では、ピアノや太鼓も加わって、SEKAI NO OWARI「スターライトパレード」を披露。他の出し物のような、熱さこそないものの、なにかほのぼのとして温かい気持ちになれた。

 続いて、今回の目玉のひとつでもある、全員コント。主役は、前回の文化祭で、補欠から正規メンバーに昇格した、別所匠。30分を超えるコントだったが、ひとりひとりの熱演もあって、あっという間に感じた。

 そして後半戦。ここからは、今回のライブのために作られた、新ユニットや新曲のコーナーだ。

 トップバッターは、今回唯一のソロ、前川歌音による「クラクションレクイエム」。かつての中森明菜を彷彿させる楽曲に、マイクスタンドを使った大胆なパフォーマンスが見事。会場からの大歓声に、満足感を感じているようだった。

 そして、チャーリー(エゼマタ健太チャールズ)とおばちゃん(宇都木彩乃)によるユニットで、「ナイジェリアローズ」。こちらは、チャーリーが曲の途中で上着とズボンを脱ぎ捨て、短パンひとつで歌うという驚きの趣向であった。

 ここで客席には、隔週火曜日MC・千鳥の二人が登場。会場に歓声が沸き起こる。

 さて、ステージ上には、元引きこもりの村西里世が登場し、YouTubeとTwitterで、50万回以上再生されたという「引きこもりあるあるのうた」を歌う。自身の経験をも織り込んだと思わる歌詞と、コミカルなダンスが印象的。引きこもりらしく、スウェット姿もよく似合っていた。

 そして、クラスではモテない男子キャラとなっている、出口晴臣、別所匠の2人による「負け犬のブルース」。ここでは、出口がハーモニカも奏で、切なげな歌を一層盛り上げていた。

 部活の発表に戻り、軽音部が新曲「自己嫌悪の夜」を演奏。切ないバラードに、キーボードのソロ、そしてやはりヴァイオリンがいい味を出している。そのままの盛り上がりを受け、企画ユニットの「気まぐれカモン」へと繋がった。

 新メンバーの、「マーガリン」こと大曲李佳がセンターとなった、アイドル部は、「無人島へ連れてって」を歌い踊る。AKBなどにも通じる王道のアイドルソングで、9人のフォーメーションも見事だった。

 部活のラストは、三四郎・相田がセンターをすることになった、ダンス&ボーカル部の「マイナスワン」。赤いジャージ風の衣装で12名が踊る様は圧巻だった。短い練習時間だったと思うが、相田も立派に務めを果たしていた。

 ライブも一通り終了し、生徒がステージに揃ったところでサプライズ。なんと、番組MCを務めている芸人13人による新曲「たった一つだけの約束」ができたとのこと。会場に来ていたMC陣もマイクを握り、曲が流される。「死ぬな、生きろ!」というメッセージが伝わってくる力強い曲。生徒たちは涙を流して聞き入っていた。

 その後、もう一つのサプライズ、来年2月に、新宿アルタで1週間劇場公演が決まったとのこと。こちらもどんな内容になるのか、期待して待ちたい。

 最後、メンバーから感謝の言葉が述べられ、全員で合唱曲「夕焼けはなぜ、一瞬なのか」を歌う。会場は、ひとつのことをやり遂げた生徒たちに拍手を送り、3時間にも及んだライブは終了した。

 

■ライブを通して伝えたかったこと

 企画もバラエティに富んでいて、楽しく、見ごたえのあるライブだった。テレビの企画であることを考えれば、構成や演出は細かく決められていたことと思う。制作しているのは、経験豊富なプロの人たちだ。良いものができるのも納得だ。ただ、実際にステージを生で見て、生徒たちの頑張る姿に、台本を超えた勢いや感動を感じたことも事実である。

 近年は、ネットなどの広まりにより、「学校」というものの存在は希薄化しているのではないかと思う。この番組の作り手側の人たちが経験した時代は、今よりもっと濃密な学校生活があった。私自身振り返ってみても、学生時代、学校は生活のほぼ全てで、塾に行っている人すら少数派だったのだ。

 この番組を生み出したのは、あの頃の学校を作りたかった人たちなのだ。人間関係が濃くて、キラキラと輝いていた。そんな思い出の中の「理想の学校」、それこそが、今回見せてくれた若者たちの「青春」なのだろう。

「学校って、こんなに楽しかったんだよ。こんなに一生懸命になれたんだよ」そんなことを、生徒たちや、テレビの向こうにいる視聴者に知ってほしかったんじゃないだろうか。熱血モノの学園ドラマも流行らなくなった今、バラエティとドキュメンタリーの間にあるような、この番組が、伝えようとしているものは大きいはずだ。

 番組が始まって8カ月、実際に生徒たちは大きく成長した。かつての『夕やけニャンニャン』(フジテレビ系)や『ASAYAN』(テレビ東京系)などの例を見るまでもなく、若い子たちが成長する姿を見るのは、何よりも嬉しいものだ。当然、番組である以上、つらいことや厳しい面もあるだろう。しかし、困難を乗り越えてなお「前に進もう」とする姿勢は、実に尊いものなのだ。

「学校」がコンセプトであるがゆえに、生徒たちもみないつかは卒業していく。彼ら彼女らが外の世界に向け大きく羽ばたいていく日まで、しっかりと見届けたいと思った。

(文=プレヤード)

最終更新:2018/12/28 23:30
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