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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 今年は30代前半女優が活躍?
ドラマ評論家・成馬零一の女優の花道【番外編】

綾瀬はるか、石原さとみ、徳永えり……30代前半女優がテレビドラマを席巻中!?

 土屋太鳳(23)、波瑠(27)、高畑充希(27)、有村架純(25)といった今年民放ドラマで主演を務めた女優は朝ドラヒロインを経験しており、いまや朝ドラを中心にテレビドラマは回っていると言っても過言ではない。しかし、朝ドラの印象が強いため、そのイメージからの脱却は大変そうで、『中学聖日記』(TBS系)で男子中学生と恋愛する教師の役を演じた有村のように、ショッキングな役に挑んだり、土屋や波瑠のように、とにかく出演作を増やすことでイメージの更新を図っているが、まだまだ模索中という感じだ。

 むしろ、朝ドラの脇役で光る演技を見せた松本穂香(21)、清野菜名(24)、広瀬アリス(24)といった女優の方が、自由に演じられるため、大きく飛躍しそうな気配がある。

 中でも注目なのが、現在『まんぷく』(NHK)に出演している岸井ゆきの(26)。童顔で小柄な体格を生かして10代の少女を演じ、話題となっている。それ以前にも『モンテ・クリスト伯』(フジテレビ系)等の作品で光る演技を見せていたが、今後、主演作が増えそうだ。

 10代の若手女優は、『半分、青い。』(NHK)でヒロインを演じた永野芽郁(19)のような例外を除くと、若者向けドラマが減っていることもあり、活動の舞台は、少女漫画原作のティーンムービーや配信ドラマとなっている。

 着々とキャリアを積み重ねているのが、昨年、映画『君の膵臓をたべたい』のヒロインとして注目された浜辺美波(18)だ。今年は、『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系)と『賭ケグルイ』(MBS)という2本の連ドラに出演。一見、清純派だが、会話のイントネーションや仕草に小技を効かせることで独自の個性を出してくるのが演技の特徴だ。中でも『賭ケグルイ』で演じた、ギャンブルジャンキーの女子高生・蛇喰夢子は素晴らしく、賭け事に興奮して恍惚とした表情を浮かべる場面は、禍々しい色気を放っていた。

 正統派美少女として今後、期待できそうなのが高橋ひかる(17)。2014年に第14回国民的美少女コンテストでグランプリを受賞した彼女は、武井咲や剛力彩芽の所属するオスカープロモーションの秘密兵器。今年は初の主演となる配信ドラマ『パフェちっく!』(FOD)と『高嶺の花』に出演した。まだ作品数は少ないが、いずれブレイクすること間違いないだろう。

『透明なゆりかご』(NHK)に『宇宙を駆けるよだか』(NETFLIX)と、出演作に恵まれたことで大きく飛躍したのが清原果耶(16)。14歳の時に『あさが来た』(NHK)で注目された清原だが、役に合わせて演技を変化させていくタイプだ。張り詰めた緊張感を、表現できる、貴重な存在である。

 最後に、演技力において10代最強といえるのが蒔田彩珠(16)。是枝裕和監督の映画では常連で、『万引き家族』にも出演している。今年のテレビドラマでは坂元裕二脚本の『anone』(日本テレビ系)と『透明なゆりかご』に出演。どちらもゲスト出演だったが、圧倒的な存在感を見せていた。そろそろ連続ドラマの主演で、彼女の演技をじっくりと堪能したいものである。

 

●なりま・れいいち
1976年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

◆「女優の花道」過去記事はこちらから◆

最終更新:2018/12/25 17:13
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