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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『忘却のサチコ』漆黒の三代目登場!

『忘却のサチコ』漆黒の三代目登場! 新春の『孤独のグルメ』に登場してほしい

テレビ東京『忘却のサチコ』番組公式サイトより

 我が道を行く新感覚グルメドラマ『忘却のサチコ』(テレビ東京系)。第10話では、あの有名店のオムライスに幸子がほだされます。

(前回までのレビューはこちらから)

■「いつも通り=精一杯努める」の幸子

 編集者によるネット討論番組に出演することになった我らが佐々木幸子(高畑充希)。その名も「今必要な恋愛小説」。

 編集長(吹越満)から「いつも通りでいいからな」と言われるも「はい、精一杯努めてまいります!」と高らかに返事する幸子。確かに、いつでも愚直に手抜きなしが幸子の「いつも通り」。編集長はおそらくリラックスさせる意図で言ったのだろうが、そう受け取れない不器用な幸子がかっこいい。

 

■まずは「おやき」で忘却

 しかし本番前、ネット番組→全世界の人が見ている→結婚式当日に失踪した元・新郎の俊吾さん(早乙女太一)が生放送中に現れるかも! と妄想し、パニックになりかけた幸子は、いつものように美味しいものを食べてつらい気持ちを「忘却」することに。

 幸子の目に留まったのは、主催者が長野出身とのことでケータリングに置かれていた「おやき」。

 言わずと知れた、きんぴらやかぼちゃなどの具を小麦の皮で包んで焼いたお惣菜饅頭。

 幸子が選んだのは、定番中の定番の具材、野沢菜。

 奇をてらってない飽きの来ない味は、いつ食べても落ち着く。

 蒸した肉まんよりやや皮が硬めなのも、武骨でいい。素朴を絵に描いたような郷土の味ながら、現代でも通じる惣菜パン的おやつ。

 

■幸子のライバル

 実はこの討論番組のキャスティングは、「月刊スピカ」の尾野真由美(佐藤めぐみ)が裏で手を回し仕組んだもの。

 8話で初登場し、接待の場で幸子に大敗を喫した尾野は、幸子を陥れるために復讐の炎を燃やす、わかりやすい女狐タイプのライバルだ。

 今回も本番前に主催者で司会の社会学者(六角慎司)の手をハプニングを装って握り、色仕掛けに走るなど余念がないが、幸子にストッキングが伝線してることを教えられパニクるなどやはり天敵・幸子にペースを乱される。

 本番中も、社会問題に恋愛を絡めたような作品、読者の知識レベルや倫理観を高められるような小説が必要、毒にも薬にもならない小説は必要ないと強弁し、存在感を示そうと躍起になる尾野。

 それに対し、社会的弱者であろうとなかろうと悩みはさまざまなので、自分の物語だと思える作品を見つけることができるのが「小説」であるから、よって「今必要な恋愛小説」の答えは「全ての恋愛小説」だとある種の正解を出してしまう幸子。

 さらにネット住民が喜びそうな作家と編集者との色恋話をあえて繰り出す尾野に対し、幸子は、小説家とは身体一つで真っ暗な宇宙(未知の世界)へ飛び込んで人類(読者)を新しい世界へと誘うパイオニア「はやぶさ2号」(小惑星探査機)であると、壮大な例えを繰り出す。

 当初そんな存在と恋愛はできないとしていた幸子だが、悩んだ挙句、作家の先生を尊敬しているから、「もし愛する人が作家になったら愛と尊敬を両立させ新しい感情の扉を開くことができるかもしれません」と気持ちを吐き出す。

 尾野が常に視聴者や世論など他者のウケを優先し、ある種、媚びて発言するのに対し、幸子の発言は無茶苦茶ながらも自分の想いが貫かれており、そこに嘘がない。

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