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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『大恋愛』後味の悪い残酷な最終回

『大恋愛』アルツハイマー患者は、消費されて捨てられた……残酷な最終回に「後味悪すぎ」

TBS系『大恋愛~僕を忘れる君と』番組公式サイトより

 14日に放送されたドラマ『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)最終回の視聴率は13.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。過去最高です。おめでとうございます。

 さて、第1話から好意的なレビューをしてきたし、実際とっても面白い作品だと思っていましたが、まあ最終回は、どうなのこれ。どうなのよ。振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■あっけなく死んだ

 若年性アルツハイマーが日々進行していた尚ちゃん(戸田恵梨香)が書き置きを残して失踪してから半年。夫の真司(ムロツヨシ)たちはテレビの「見つかりました」的な番組に依頼して、尚ちゃんの居所を突き止めました。

 片田舎の小さな診療所に、尚ちゃんは身を寄せていました。発病前に貯め込んでいた5,000万円の預金通帳を手に「これで面倒を見てくれ」と頼み込んだそうです。診療所の手伝いをしたり、看護師さんに世話をしてもらったりしながら、ゆっくりと時を過ごしていた尚ちゃん。真司の顔を見ても、それが誰だかわかりません。

 診療所の医師から手渡されたビデオカメラには、尚ちゃんの自撮りムービーがたくさん残っていました。小さなモニター画面の中で、真司、真司と語りかける尚ちゃん。

「あたし、あたしね、真司に会いたいな」

 号泣してしまう真司は、医師に促され、“はじめましての人”として尚ちゃんと話してみることにしました。

 真司は、自分と尚ちゃんのことを書いた小説を読み聞かせます。最初はただ、心地よく聞いていただけの尚ちゃんでしたが、自分が病気になったことを真司に告げるシーンで、変化が訪れました。

「『ごめんね、面倒な病気になっちゃって』妻は続けて語った。『ぜんぜん平気。迷惑かけると思うけど』」

 真司がそこまで読み上げると、尚ちゃんが不意に続きを暗唱しました。

「一生懸命生きるから、よろしくお願いします」

「真司……」尚ちゃんが、真司の目を見つめています。

「やっぱり真司は才能あるね、すごい」

 記憶が、そのときだけ戻ったのでした。その日以来、尚ちゃんは真司のことを思い出すこともなく、「それから1年後、尚は、肺炎であっけなくこの世を去った」んだそうです。そのほかいろいろありましたが、大筋そんな感じです。

 

■まず町医者がヤバい

 いや、あのさ、家の前に前後不覚の女が立ってて、そいつが「私アルツハイマーです」と言いながら5,000万円の預金通帳を出して「面倒みてくれ」ってなったときにですよ。言いなりになって面倒みますか? という話です。まず警察でしょ。

 どういうつもりで町医者は身元を引き受けたのか。本人は「家を出てきた」と言っているが、アルツハイマーを自称する通り、意思は不明瞭です。尚ちゃんは財布を置いて出て行ったから健康保険証など身分を明かすものは持っていなかったかもしれないけど、通帳はあったわけです。通帳からは口座名義と銀行支店名がわかるし、警察に届ければ口座から住所氏名はわかります。しかも尚ちゃんには捜索願が出ている。そうじゃなくても「間宮尚」の通帳と間宮真司の著書を持っているわけですから、町医者さえその気になれば、翌日か翌々日には尚ちゃんは真司の家に帰れたのです。彼ら夫婦を引き剥がして、恵一くんから母親との日々を奪ったのは、この町医者です。

「診療所の手伝いをさせた」とか「看護師を雇って世話をさせた」とか、何を勝手なことをやっているのか。この町医者にとって尚ちゃんは患者でもないし、患者扱いで診療行為を行っていたつもりだとしても、家族の意思を確認しようとしないのは、どういう了見か。もうね、犯罪の匂いさえ漂いますよ。何しろこの自称若アル患者には5,000万円の預金残高があるわけです。アルツハイマー患者の財産って、それこそ医療関係者にとって、もっとも慎重に取り扱うべきものでしょう。成年後見制度とかさ、ちゃんと制度があるわけでしょう。ちゃんとしようよ。

 しかも町医者を訪れた時点で尚ちゃんの病気は進行中ではあっても、まだ「何もかも忘れました」という状態ではなかった。適切な治療を受ければ、進行を遅らせることだってできたかもしれないし、何しろ真司と尚ちゃんの義理の父親となった井原侑市(松岡昌宏)という人は、尚ちゃんの主治医であり、アルツハイマーの世界的権威で、最先端医療に携わってる。どう考えても、その時点で井原に診せるのが医者として最善の判断なはずです。専門家でもない町医者が独自の判断で適切な医療を受けさせず、病気の進行を早めてる。まるで「早く全部忘れてしまえ」とでも言いたいかのような。アルツハイマーの診断が下れば、口座を凍結される可能性もありますからね。町医者にとっては、尚ちゃんを専門医に診せないほうが都合がいいわけだ。5,000万円下ろし放題だからね。

 とにかく、アルツハイマーを自称していて、その症状が明らかに見られる患者の意思だけを尊重し、家族の意向を確認しない医者というのはヤバすぎだし、真司はもっと怒ったほうがいい。「お前さえすぐに警察に届けていれば……!」って、怒ったほうがいいよ。井原先生も専門家なら怒れよ。ママも怒れよ。何してんだよ。

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