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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 安室奈美恵が支持されたワケ
平成J-POPプレイバック!

安室奈美恵をブレークに導いた、小室哲哉の”絶妙なR&B感覚”と「SWEET 19 BLUES」

 そして鮮やかだったのは、「Chase the Chance」から3カ月後に出た「Don’t wanna cry」だった。シェイクするようなビートの反復、ソウルフルに唄い上げるヴォーカル、それにコーラス。ホットな一体感が情熱を浮き彫りにするこの楽曲は、安室自身がかねてから憧れていたジャネット・ジャクソンに代表される当時のブラック・ミュージック~R&Bを志向したものだった。

 この後にはハウスのビートが疾走する「You’re my sunshine」と、先述のアルバムからのバラード「SWEET 19 BLUES」のリカットを挟み、晩秋、ブラック路線をさらに推し進めたポップ・ナンバー「a walk in the park」が登場する。

 当時の安室の進化はすさまじかった。僕は引き続き彼女への取材を行っていた(TV局の畳敷きの楽屋で、お互い脚を崩しながら話したこともあった)。そしてライヴも観ていたのだが(夏の沖縄での野外公演が特に印象深い)……シングルのたびにメロディの質感やビートの傾向が大きく変わっていっているのに、彼女はそれらを当たり前のように唄いこなしていたのである。それはそこまでの積み重ねの段階でヴォーカルをしっかりと鍛えていたからであろうし、しかもライヴではこれに激しいダンス・パフォーマンスも加わる。天賦の才とはこのことを言うのだろうと思ったものだった。

 プロデューサー・小室は、この後も挑戦を怠らなかった。翌97年の初頭にはかの名曲「CAN YOU CELEBRATE?」が誕生する。今も万人から愛され続ける、祝福の歌だ。

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