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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『SUITS』織田裕二の暑苦しい演技

『SUITS/スーツ』第10話 久々に見た織田裕二の暑苦しい演技に安心感。賢い演技、向いてないよ……

『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)第9話。「最強の検事VS最強の弁護士!」

 いよいよ最終回(前編)。

 今回の案件は、鈴木大輔(中島裕翔)が蟹江貢(小手伸也)と争うことになった、資産家の異母姉妹による遺産分与問題。

 そして、甲斐正午(織田裕二)の元上司・最高検次長検事の柳慎次(國村隼)による汚職疑惑だ。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■法曹界における「親」がラスボス

 これまでもちょいちょい顔を出してはいたものの、過去にどんな因縁があったのか分からずにいた甲斐と柳。

 柳は悪を憎む思いが突っ走りすぎて、証拠隠しなどの不正をしてまで容疑者を断罪するタイプの検事。甲斐はそんな柳に嫌気が差して検事を辞めて、弁護士となったようだ。

 柳の不正疑惑を調査している最高検監察指導部の澤田仁志(市川海老蔵)は、検事時代の甲斐の後輩。

 多くの「状況証拠」はつかんでいるものの、決定的な「物証」がないため、かつて柳とベッタリだった甲斐にあの手この手で揺さぶりをかけて、証言をさせようとする。

 柳が不正を働いていた事実を知っていた甲斐だったが、澤田の態度から「検察内の内部抗争のニオイ」を嗅ぎ取り、

「そんなものに利用されるのはまっぴらですよ」

 と証言を拒否。

 しかし、澤田たちの集めた「状況証拠」を手に入れたところ、柳が自分の担当事件だけではなく、検察時代の甲斐が担当していた事件の証拠隠しまで行っていたことが発覚する。

 甲斐の部下である大輔に対して、

「私の孫みたいな存在ってわけだ」

 と語っていた柳。つまり柳は甲斐の法曹界における「親」ということだ。

 そんな「親」が自分を裏切っていたことに対する怒りなのか、「親」を告発しなければならないことに対しての迷いなのか、甲斐はいつになくイライラした様子を見せていた。

■やっぱり暑苦しい織田裕二が見たい!

 一方、大輔の担当案件。

 クライアントである資産家の依頼は、ふたりの異母姉妹に公平に資産を分配するよう遺言書を作成したいということだが、姉・藤代(町田マリー)と、妹・雛子(本仮屋ユイカ)の関係は険悪で、すんなりとまとまりそうにはなかった。

 幸村チカ(鈴木保奈美)は、姉の担当を蟹江に、妹の担当を大輔に任せ、交渉を進めるように指示する。

 大輔の経歴詐称を知ったチカは、クビにする口実とするため、ベテランの蟹江と真っ向勝負となるような案件を担当させたのだ。

「互いの資料は盗み見しない」

 というルールを設定した蟹江だったが、当然そんなルールを守るはずもなく、大輔のメールを盗み見。

 しかし大輔もそれを予想しており、あえて偽メールを盗み見させることによって、妹・雛子の欲しがっていたアパレル部門をU&T社に売却するよう仕向けたのだ。

 その上で、U&T社を雛子が買収することによって、アパレル部門を手に入れようという作戦。

 大輔の罠に気付いた蟹江は文句たらたらだが、そこで甲斐がブチ切れる。

「不正を働いた人間が居直るな!」
「部下が相手だったら、何をしても許されているとでも思っているのか? 不正を働いた人間が偉そうに。自分を正当化するな!」

 明らかに柳へのイライラが募っていることからの発言だ。

 近年の織田裕二は、山本高広のモノマネ的な熱血・織田裕二像を払拭したいのか、やたらと「賢いキャラ」をやりたがっているように思える。

 本作でも感情を抑えた演技を心がけているようだが、あんなに色黒な猿人顔なのにクールな知性派弁護士(ハーバード大卒)って、どうしても違和感アリアリなのだ。

 やっぱり織田裕二といえば、『東京ラブストーリー』のカンチや『踊る大捜査線』の青島のような熱い男のイメージが強い。織田裕二に「賢い」イメージなんて誰も求めていないんじゃないだろうか。

 そこにきて今回の感情を爆発させる甲斐。「ボクらの裕二が帰ってきた!」という感じだ。

 織田裕二は素直に、正義感に燃える暑苦しい弁護士役をやった方がよかったんじゃ……。

 近年の武田鉄矢も、金八先生イメージを払拭しようとあえて悪役を演じることが多くなっているが、鉄矢の場合は、素の性格の悪さがにじみ出ていて、金八先生よりも明らかにハマリ役となっている。

 織田裕二の素は、おそらくTBS『世界陸上』で見せるような熱血バカなのだろう。もっと素直に「素」を活かした役をやって欲しい。

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