トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed

“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士が映画『暁に祈れ』にガックリ「それより俺のYouTubeを見ろ!」

「圧倒的な肉体を手に入れれば、ケンカを売られることもなくなるし、人に対して優しくなれる」と瓜田(撮影=尾藤能暢)

――タトゥー愛好家の瓜田さんから見て、この映画に出てくる囚人たちのタトゥーはどうでしたか?

純士 特に驚きはなかったです。タイには何度も行ってるし、パクられたときも、保釈中に1ヶ月ほどバンコクにいて、多くのタイの元囚人とかと関わったから、あの手のタトゥーは見慣れてるんですよ。ビリーが入れた虎の模様もたくさん見ました。あれ、向こうのお守りというか験担ぎみたいな模様らしいですね。ついでに言うと、ワイクルー(ムエタイの競技前に行われる舞踊)も毎朝のように見てたんで、特に新鮮味はなかったというか、タイでの生活を思い出してウンザリしました。

――瓜田さんは、なぜタイで捕まったのでしょう?

純士 入国審査のときに止められたのに、暴れて強行突破しようとしたらパクられました。パスポートも没収されて、この映画にも出てきたようにトラックの荷台に乗せられて、留置所にぶち込まれたんです。最初は相部屋でした。

――映画のビリーみたく、同部屋のタイ人からいじめられませんでしたか?

純士 すぐに1人部屋に移されたから大丈夫でした。これは海外でパクられたときの鉄則で、フィリピンでも使った手なんですが、俺は捕まると、狂人のフリをするんです。そうすると1人部屋に移してもらえる。でも、気持ちは全然休まらなかったですよ。「7年は食らう」とのウワサを耳にしたりして、焦りました。いろんな人の助けもあって、留置所はすぐに出ることができましたが。

――よかったじゃないですか。

純士 いや、そこからも辛かったですよ。裁判を待つ間、出国が許されず、『ドブネズミのバラード』の印税を握りしめて1ヶ月ほど、あちこちのホテルを転々としたんですが、慣れない異国だし判決も不安だから、体調を崩して熱でうなされる日々が続きました。その間ずっとホテルの庭から、ピー・ムアイ(ムエタイの音楽)が流れてきて……。この映画でもピー・ムアイが延々と流れてたから、当時の苦しい思い出が蘇ってきて苦痛でした。

麗子 映画見ながらそんなこと思ってんの、純士だけやと思うで(笑)。あの独特の音楽が、異国で捕まった不安感を煽って、よかったやん。

純士 音楽はさておき、意志の弱い欧米人が吠えてるだけって感じで、映画としてイマイチだったかな。捕まるまでのシャバでの様子や、親との関係とかがもっと描かれてれば、ビリーに感情移入できたと思うんだけど……。

――でも映画の評判は上々のようで、今日も満席でしたね。

麗子 お客さんの9割ぐらいが男の人やったな。隣のおっちゃんが、2時間ずっと鼻ほじってて、おまけに息も臭かったんやけど、それを無視できるほどの内容の濃さやったわ。ところで劇中、新入りの囚人がレイプされるシーンがあったやん。あれ、純士が犯される立場やったら、どうする?

純士 あの段階だったら、迷わずケツを差し出すね。

麗子 えええっ!?

純士 下手に抵抗して、殺されるほうが嫌だ。ケツ掘られたって命に関わらないから、いくらでもどうぞ、って感じかな。俺はとにかく生き伸びたいと考えるタイプだから。

――タイ人の受刑囚たちの迫力はどうでしたか?

純士 今さらあんな刺青だらけのたるんだ体をたくさん用意したところで、たいして驚かないですよ。今はYouTubeやテレビの『クレイジージャーニー』などで、世界のいろんな裏情報が出回ってるから、ああいう環境の映像に新鮮味がない。映画って、想像の域を超えるから面白いんであって。ちょいちょい瓶を割って脅かしたりもしてたけど、ああいうハッタリも怖くなかったですね。

――そうですか。

純士 カンヌで話題になったと聞いてたから楽しみにしてたんだけど、おまえの半生なんてどうでもいいよ、と思っちゃった。出来事がどれも普通に思えちゃって。格闘技を題材にした映画は好きだけど、俺の魂には火がつかなかったですね。

――褒めるべき点はありましたか?

純士 さっき「ドキュメントとして見れば面白かった」と言いましたけど、それって実は、最高の褒め言葉でもあるんです。まったく映画っぽくなく、リアルだなと思えたし、彼が役者だとも思えなかった。ビリー本人という感覚で終始見れたのはよかったかな。

麗子 あれ、本人ちゃうの?

純士 (呆れ顔で)……ビリーを演じてるんだよ、役者(ジョー・コール)が。

麗子 本人がやってると思ってたわ!

純士 そんだけ役者がすごいんだろうね。あとは、タトゥーまみれの房長みたいなのが、いいことを言ってましたね。「俺たちは人間なんだ。動物じゃない。話し合いができる」と。あれは「確かに」と思いました。

――この映画から得た教訓はありますか?

純士 郷に入っては郷に従え、ってことでしょうか。ムショに入ったらジタバタせず、「いかに賢くふるまって、いかに最短で出るか」だけを考えるべき。とはいえ、真面目に生きてれば無関係な世界なんですけどね(笑)。すべてはあいつの行いが悪い。自分がちゃんとしてれば、あんなところにぶち込まれることはないわけですから。

麗子 シラフ最高! それがこの映画から得た教訓ですね。

純士 あ、最後に、この作品をカンヌで褒め称えた連中にこう言いたいです。「YouTubeで『瓜田純士プロファイリング』を見ろ! もっとすごい役者がいるぞ!」と。俺のことなんですけどね(笑)。
(取材・文=岡林敬太)

健全な精神は健全な肉体に宿る。瓜田は今も毎日、筋トレを続けている

『暁に祈れ』瓜田夫婦の採点(100点満点)
純士 50点
麗子 80点

※瓜田純士のYouTube好評配信中!(瓜田純士プロファイリング)
https://www.youtube.com/channel/UCv27YAy0FZ-4wwisy5zPmeg

※「“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士、かく語りき」の記事一覧
https://www.cyzo.com/cat8/outlaw_charisma/

最終更新:2018/12/17 17:00
12
ページ上部へ戻る

配給映画