視聴率5.6%『僕キセ』最終回のCGラストに批判殺到も、高橋一生「ゴールデン初主演」が“成功”と言えるワケ
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■壮大な伏線回収
ただ、相河の宇宙行きについては、思い返せば、群馬にある新庄くんの実家のコンニャク屋さんに行ったときも元々の目的は天文台に行くことだったし、大学の講義でも、宇宙に行った動物や月の話をするなど、伏線が張られていました。ロシア語を学んだり、水泳を習い出したのも、宇宙へ行くための準備だったわけです。
てっきり、樫野木先生に言われたことがショックで大学をやめてしまうのかと思いましたが、相河が鮫島教授に言った、
「嫌なこともつらいことも消そうとしないで全部光で包んだら、僕の光は無限大になります」
というセリフにあるように、ただ嫌なことから逃げるために大学を辞めて宇宙に行くわけではなかったんです。
ちなみに、エンドロールでは毎回、数字だったり自然に関係するものだったり、その回の内容とリンクするよう、スタッフの名前の漢字の一文字一文字に色がつけられるという粋な演出がされていたんですが、前回は宇宙にまつわる漢字を使った名前に色がついていました(最終回では全員の名前が虹色になっていました)。そういった細部にわたるこだわりにはスタッフ陣の愛を感じましたし、至るところに張りめぐらされた伏線が綺麗に回収され、スッキリと納得のいく最終回だったように思います。
■「大河原さん」は、山田さんの中にある「お母さん」の部分
伏線といえば、家政婦の山田さんが度々会話に登場させた「大河原さん」ですが、やはり、実在しないことが相河のセリフによって明かされました。実の母であることを名乗らないと決めていたからこそ、大河原さんに500円の豆腐を買わされたと嘘をついて、歯が痛い相河にやわらかいもの食べさせたり、樫野木先生のことで大学をお休みした翌日は大量のお裾分けをもらったと、たくさんご馳走を作って元気づけようとしたり、大河原さんを生み出すことで、家政婦の域を超えた、母親としての愛情を相河に注いできました。つまり、大河原さんは「お母さん」だったわけです。
このあたりのことを考えると、気付かないフリをしていた相河が言った「大河原さんがいてくれて良かったです」というセリフがとっても染みてきます。
■視聴率惨敗も、“成功”といえるワケ
さて、ドラマが始まった初めの頃は、高橋一生があざといだの、ストーリーが退屈だの散々書いてきたものの、終盤に差しかかるにつれ、グッと引き込まれる展開が続き、アッサリ手のひらを返したことをお詫びしたいというのが、筆者の正直な感想です。
発達障害を抱えているであろう主人公の成長と、その周囲の人間の変化を、「障害」という言葉を使わずに、丁寧に描ききった脚本の橋部敦子さんには、『僕の生きる道』シリーズのように、『僕キセ』もシリーズ化してほしいくらい。
また、難しい役柄を演じた高橋さんの演技も、回を追うごとにナチュラルなものになり、役柄を自分のものにしているなと感じました。10歳以上年が離れた女優との熱愛を報じられたり、私服のチェーンがダサいとディスられ、人気急落がささやかれていましたが、「イケメン枠で括られると疑問だけど、演技は本当に上手い」「ハマり役だった」「このドラマで好きになった」という声が視聴者から上がっているように、マイナスイメージは、多少は払拭できたかと思います。
視聴率こそ振るいませんでしたが、視聴者の満足度は高いようだし、ゴールデン初主演にこのドラマを選んだことは、間違いなく成功だったと言えるんじゃないでしょうか。そういった意味でも、高橋さんの次回作が気になるところです。
ちなみに、次クールのこの時間は、黒川博行氏の原作小説を連ドラ化した『後妻業』が放送。木村佳乃が遺産相続目当ての結婚詐欺師役を演じるとのことで、ハートフルストーリーだった『僕キセ』とは180度違うドロドロしたドラマが展開しそうですよ……。
(文=どらまっ子TAROちゃん)
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