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日刊サイゾー トップ > カルチャー  > 聖地巡礼に人が来ない対馬の最果て感

『アンゴルモア 元寇合戦記』は面白かったけど……「聖地巡礼」で人なんか来てなさそうな対馬の最果て感

かつて、ここで日本の歴史に刻まれる出来事があったのだと考えると有り難さも一際

 これは、あまりにもハードルが高い<聖地>だと思った。

 ふと、対馬にいってみようと思った。

 対馬は、いわずとしれた玄界灘に浮かぶ国境の島。大きさは日本で10番目の巨大な島だ。巨大ではあるものの、本土からははるかに遠い。

 今回、東京を離れて関西を旅するついでがなければ、あえて行ってみようとは思いもしなかった。何しろ、対馬へは飛行機も船もあるのだけれども、距離は長いし料金は高い。

 ただ、大阪までいってしまえば、時間さえ気にしなければ、距離はぐんと近くなる。大阪南港と新門司をつなぐフェリーは、一晩かかるとはいえネット限定で3,980円という激安料金で、九州まで運んでくれるのだ。

今、ネット限定で大阪南港~新門司間は3,980円。さらに、小倉駅までバスは無料というお得な旅ができる

 というわけで、やってきた、大阪南港。今では船便も減ったためか、ターミナルの雰囲気はうらぶれている。でも、乗船客はそこそこ多い。運送業者は日常的に使っているし、最近はフェリーで一泊しながら向かう国内ツアーも盛んな様子。そのためか、旅客は時間に余裕のある老人が圧倒的に多い。

 17時発のフェリーは、アナウンスの流れる中を時間通り出港。途中、明石海峡大橋・瀬戸大橋・来島海峡大橋と夜景が美しい橋を3度もくぐるのが、この航路の名物。ただ、瀬戸大橋に達するのは深夜になってからなので、あえて見物するのは明石海峡大橋くらい。

 船の中にはゲームコーナーなどもあるにはあるけれど、娯楽としては物足りない。やたらと揚げ物が目立つ、バイキング形式のレストランで食事をした後は、風呂に入って寝るだけ。一応、展望風呂にはなっているけれども、日が暮れてしまえば窓の外にはなにも見えない。

 最安の二等は、雑魚寝である。平日ということもあってか、同室の客はもう一人だけ。

名門大洋フェリーにはバイキングが。これでもかと、揚げ物が出るので食いしん坊にはうれしいはず

 特にすることもないので、風呂を終えればあとは寝るだけである。瀬戸内海を航行するフェリーはあまり揺れることもなく、ぐっすりと眠ることができる。

 翌朝。フェリーは午前5時過ぎに新門司港に到着する。ここからは、無料で小倉駅までバスで運んでくれるサービス付きである。小倉駅からは、一路電車で博多へ。通勤時間の電車は混み合っていて、ザックを背負う旅姿の自分は、少し肩身が狭い。

 博多駅からはバスに乗り換え、またフェリーターミナルへ。ここから対馬へは、フェリーか高速船。当然、選ぶのは料金の安いフェリーのほうである。

 係の人に「船は揺れますか?」と聞くと「今日は、そんなでもないですよ」という。ただ、それは慣れている人の言葉。玄界灘へと乗り出したフェリーは、時折ゆらりと大きく揺れる。途中、壱岐に寄港して対馬厳原港までは4時間半。船酔いを避けるためか、みんな50円の毛布を借りて、横になって寝ている。

 旅が楽しいからと、座ったり立ったりしていれば、すぐに船酔いをしてしまうからだ。

 船にはWi-Fiも飛んでいるが、陸地を離れれば電波は途切れがち。それに画面を見ていると、たちまち船酔いをしてしまいそう。だから、じっと横になっているしかない。

 いつまで、じっとしていればいいのだろう。

 じっと横になっているのも、面倒くさくなった頃、ようやくフェリーは厳原港へ到着した。

 博多を出港したのは、午前10時00分。厳原港到着は、14時45分だから、一日の大半を移動で潰してしまった気分である。

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