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日刊サイゾー トップ > エンタメ > テレビ  > 賀来賢人がパッとしないワケ

『今日から俺は!!』第8話 主演なのに……賀来賢人がいまいちパッとしない理由とは?

日本テレビ『今日から俺は!!』

 12月2日に放送された『今日から俺は!!』(日本テレビ系)の第8話。この回のエピソードに選ばれたのは“ヘルメット男編”。「一番つええヤツ」を探し、軟高で暴れ回るフルフェイスのヘルメットをかぶった新入生(須賀健太)と三橋貴志(賀来賢人)らが対決する内容である。

 原作に思い入れを持つ筆者だが、今回に限っていえば、原作よりもドラマ版のほうが面白かった。ドラマでのオリジナルストーリーは、果たし状で呼び出された赤坂理子(清野菜名)がヘルメット男とタイマンし、危機に陥った理子を三橋が救い出す部分である。このくだりで、原作では進みそうで一向に進まなかった(それがいいのだが)2人の仲がドラスティックに深まった。象徴的なのは、理子がヘルメット男に啖呵(たんか)を切る場面だ。

「そんなヘルメットかぶって守り固めてさあ、金属バット持ってケンカするような卑怯なヤツに、軟高のテッペンは取らせねえよ」

「なんなの、お前。これから3年間、ずーっとそのヘルメットかぶって授業受けんの? バッカじゃねえ。悔しかったら、そのヘルメットと金属バットなしで勝負しろや!」

 理子なりに、三橋のしゃべり方を真似し、三橋が言いそうなことを言っている。後から来た三橋が言おうとするセリフのどれも、彼女が先に言ってしまっていた。三橋の言いたいことを、理子は全部知っている。

 そして、今回のハイライトは三橋が現れた時の第一声、「俺の女に手出すんじゃねえ」だ。原作で、こんなセリフは登場しなかった。そもそも、原作の三橋は、こんなことを言うキャラではない。そんな“原作版三橋”との個性の乖離は、功を奏していると思う。ドラマ版は原作版三橋にある“鋭さ”を描き切れていないが、ドラマ版三橋には原作版にはない男っぽさがある。これはこれでいいと思う。

『今日から俺は!!』は全10話。限りがある。描き切れない人間関係が出てもしょうがない。でも、三橋と理子の甘酸っぱい関係性は話が別だ。それは描きたい。ドラマでは、今まで描けているようで描けていなかった。力業で「俺の女」と言わせることで、2人の関係性を深めておきたかった。そういうことだと筆者は受け取り、納得した。

 一方で、残念な描写も存在する。ヘルメット男に追い詰められる理子が「さんちゃーん!」と助けを求めた時、やって来たのが伊藤真司(伊藤健太郎)だったのだ。その時、三橋はスネていた。これはダメだ。素直になれないけども、内心で理子をとても大事に想っているのが三橋。理子に名前を叫ばれ、飛んで行かないのは三橋じゃない。終盤の理子vsヘルメット男の場面での「俺の女に~」発言につなげたるためのじらしかもしれないが、ならば、理子に「さんちゃーん!」と叫ばせるべきではなかった。それじゃ、三橋が小さい男になってしまう。オリジナルストーリーの至らなさによって三橋の良さが消えてしまうことが、このドラマには多々ある。

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