『忘却のサチコ』サワークリームのような甘酸っぱい葉山奨之に母性を刺激される……今回はロシア料理!
#ドラマ #テレビ東京 #高畑充希 #どらまっ子 #柿田太郎 #忘却のサチコ
■鈍感なサチコ
結局、有村から次回の作品掲載の約束を取り付けた幸子は、小林に誘われロシア料理の店に。いわば祝杯だ。
「注文は任せてもらっていいですか?」
「苦手なものとかないですか?」
小林は片思いしてる幸子とご飯ができる幸せに満ち溢れている。吊り橋効果的なものもあったであろうから尚更だ。
ピロシキを食べてみたいと考える幸子の気持ちを汲んで「ピロシキは絶対に頼みますね」と言う小林。驚く幸子。
「なんでわかったんですか、私が考えていること」
「それくらい、ちょっと考えたら誰でもわかります」
「みんなそうなんでしょうか……私は今まで相手が何を食べたいかなんて考えたことなかったです」
「僕だって普段はそうですよ」
実は不器用な2人が、いつも以上に距離の近い会話を自然としてるのが微笑ましい。
そしてさりげなく幸子への気持ちを口にしている小林だが、こういうことに鈍感な幸子にはまるで届かない。
小林にはデート、幸子には食事なのだ。
結局このときも、幸子は俊吾のことを思い出していた。それでも幸子を喜ばそうとメニューを説明する小林が健気だ。
モンスター後輩だったくせに、感情移入させられるとは少し悔しい。
■怒涛のサワークリーム
まずやってきた皿は「ペリメニ」。小麦粉の皮でひき肉を包んで茹でたロシアの水餃子とのこと。
ロシアにも餃子が……と幸子は驚いていたが、中国の周りの国には、必ずと言っていいほど餃子っぽい料理が存在する。モンゴルには「ボーズ」という蒸し餃子、ネパールには「モモ」という水餃子が有名だからあの広大なロシアに餃子があるのも頷ける。
ソースにサワークリームを使っているとのことだが、今回のこの店は「フランス風ロシア料理」とのことで、さらにラタトゥーユまで添えてある。
フランス風ロシア料理だから馴染みやすいというニュアンスで紹介されていたが、ロシア料理どころかフランス料理すらまともに食べたことがない筆者的には、あまり響かず、なんならサワークリームと聞いてプリングルスのサワークリーム&オニオンを想像してしまう始末。お恥ずかしい。
続いてピロシキやボルシチなど定番をたいらげ、そしてメインのビーフストロガノフが。
ハヤシライスとは完全に別物の、でかいビーフがゴロゴロした豪華なやつから湯気が立ち込める。
ここにもサワークリームが入ってるし、ボルシチにもしっかり添えられていた。日本でいう醤油とか味噌みたいな感覚なのだろう。
厳密には、本来のロシア料理でよく使うのは「スメタナ」という発酵食品で、実はサワークリームとは別物らしく、こちらはこちらで気になる。ぜひプリングルスで出してほしい。
一口食べる度に新しい味がどんどん出てくるこの味を「味のマトリョーシカ」を表現する幸子。
美味しいもの食べている時の幸子は無言ながら、脳内は実に饒舌だ。今回は美味しすぎて幸子の背景にコサックダンスをする群勢が登場。この恒例になりつつある変な効果のシーン、大好きです。
■深まる俊吾の謎
終盤、有村争奪戦に負け悔しがるライバル・尾野が「次会ったら絶対復讐してやる!」と叫ぶなど、割とオーソドックスな展開が目立った回だったが、気になるのはやはり俊吾さんの謎。
幸子の回想によると、俊吾は入籍を決めていた日が一粒万倍日(一つのいいことが数万倍になるくらい幸運な日とされてる、入籍には大変適した日)だと知り、その日に悪いことをしたらどうなるのか気にしていた。幸子いわく「もちろん数万倍になります」とのことだが、その直後、何かを言おうとしてした俊吾。
幸子に遮られそれは聞けなかったのだが、あのとき何を言おうとしていたのか? 幸子も今更ながら気にしていた。
帰り際、本当はオールで幸子と過ごしたい気持ちが見え隠れする、まるでサワークリームのような甘酸っぱい小林と、駅まで急ごうとする何も感じていない幸子。
「本当はちょっと落ち込んでたんです。ありがとうございました。」
と、理屈屋のくせに素直にしっかり礼をいう小林に、最後まで母性をつつかれる。筆者は中年男性なのに。
「小林さんが有村先生の最高傑作を持ってきてくれるのを楽しみに待っています。」
「早く佐々木さん(幸子)を安心させられるよう頑張ります。」
こういうのを見せられると、小林と上手くいってほしいと素直に思ってしまう。無理だろうけど、まずは阿部先生(原作者)お願いします。
そして、第9話には原作に忠実な、あのジーニアス黒田先生(池田鉄洋)が再登場。笑わせてくれつつもホロリとさせられそうな予感が……楽しみです。
(文=柿田太郎)
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