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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 戸田恵梨香、朝ドラ抜擢のワケ

朝ドラ抜擢も納得! 30代になった戸田恵梨香の真骨頂は「大人の色気」と「親しみやすさ」

 戸田は現在30歳。2000年、11歳のときに朝ドラ『オードリー』で女優デビューを果たす。

 中学卒業とともに上京し、「週刊ヤングジャンプ」(集英社)の「制コレ’03」のメンバーとなり、05年に学園ドラマ『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)で注目される。その後『LIAR GAME』(フジテレビ系)や『SPEC』(TBS系)といったドラマで主演を務め、人気女優としての地位を確立する。

 数々の代表作を持つ戸田だが、今の『大恋愛』の尚につながる大人の色気と親しみやすさを初めて意識したのは、NHKドラマ『書店員ミチルの身の上話』だ。

 戸田が演じたのは、地方の書店員として働いていた古川ミチル。彼氏がいる一方で、東京の出版社に勤める書店営業の男性と不倫していたミチルは、ふとした思いつきで東京に行き、そのまま幼なじみの男性の元に居候してしまう。

『ミチル』における戸田の演技の注目すべき点は、20代の女性の中にある、自分でも理解していない不安定な感情を見事にすくい上げていたことだ。

 やがてミチルは2億円の宝くじに当せんしたことがきっかけで、ドミノ倒し的に事件が起こり、漂流するような人生を過ごすことになるのだが、彼女の何を考えているのかわからない短絡的な行動は妙にリアルで、一見、普通に見える人でも、こういう不安定さを心の奥底に抱えて生きているんだと実感させてくれた。

『大恋愛』の脚本家・大石静は、『ミチル』の戸田の演技を絶賛していたが、尚が婚約を破棄して真司との格差恋愛に突き進んでいく姿は、自分を抑えられないミチルの不安定さを恋愛衝動に落とし込んだような、どこに向かうのかわからない演技だった。

 戸田は、普通の人間が無意識に抱え込んでいる、コントロールすることのできない衝動を表現にできる稀有な女優なのだ。

(文=成馬零一)

●なりま・れいいち
1976年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

◆「女優の花道」過去記事はこちらから◆

最終更新:2018/12/07 10:26
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