高橋一生『僕らは奇跡でできている』は、育児に悩むママたちの“心の救済”ドラマ!? 支持されるワケは“媚びなさ”
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■“ダメな母親”と悩んでいた山田さん
「自分が“先送り”が得意なのは、温泉に行って、明日帰ろう、明日帰ろうって思ってるうちに帰れなくなったという山田さんに似たから。それを聞いたとき、ちょっとうれしかった」
嫌なことの象徴だったタコを釣って帰ってきた相河は、山田さんに言いました。
「僕にとってタコは、大好きの象徴だったんです。タコが食べられなくなるほど、あの頃の僕も山田さんのことを大好きだったってことですから」
この言葉に、山田さんはどれだけ救われたことでしょうか。中には子どもを捨てた山田さんに対して批判めいた声もあるようですが、「誰にでも山田さんみたいになり得る可能性はある」「子育てに悩みがない母親なんて母親どこにもいない」「このドラマって母親をよく知ってるなと思う」「毎回救われてる」「前向きになれる」と、子育て中のママたちからは絶賛の声が多く上がっていました。
7話で、虹一くん(川口和空)の母・涼子(松本若菜)は、子育てに悩み、自分のことをダメな母親だと悩んでいました(レビューはこちら)。その姿は、相河の前から姿を消した過去の山田さんであり、虹一くん親子の葛藤は、子供の頃の相河と山田さんの葛藤でもあったわけです。それを知ってから7話で、虹一くん親子に寄り添う2人の言動を思い返すと、すごく腑に落ちるし、なんともいえない切なさがあります。録画している人は、8話を見た上で、7話を見返してみてください。
なお、今回あまり出番がなかった虹一くん親子ですが、病院で目の検査を受けた虹一くんは、文字が見えやすくなって頭が痛くならない魔法のメガネを、涼子ママは、虹一くんのいいところがいっぱい見える透明な魔法のメガネを手に入れたと、虹一くんが相河にうれしそうに言っていました。相河と山田さんは、おじいちゃんと鮫島先生に助けられたように、今度は自分たちが2人を救ってあげたのです。
それにしても、山田さんに2万円を渡したおじいちゃん、かっこよすぎませんかね。きっと、山田さんと相河がそのままずっと一緒に居たらお互いが壊れてしまうとわかっていたんでしょう。「どうして11年後に戻ってきたのかな?」と問う相河に、「一輝とまた、一緒に暮らすために必要な時間が11年だった。 それだけのことだよ」と、さも当然のことのように答えたシーンも、胸が打たれました。
■「回想ナシ」の視聴者に媚びない演出
そういえば、ドラマ序盤では過去の回想シーンがあったのですが、このところは全くナシ。今話でも、山田さんが育児に悩んで家を出て行く場面や、こっそり見に行った運動会でおじいちゃんと再会する場面など、挿し込もうとすればいくらでもその要素はありました。でも、それをせずとも視聴者を惹きつけ感動させることができたのは、脚本はもちろんなんですが、役者陣の絶対的な演技力があるからだと思います。
山田さん役を演じる戸田恵子さんの語りは、声の抑揚やちょっとした間の取り方からそのときの心情が伝わってきたし、高橋一生さんも、真相を知った相河の複雑な心情をちょっとした目の動きだけで表現されていました。そのシンプルな演出だったからこそ、スッと物語に入り込むことができたように思います。
幼少期の相河が、母親がいなくなって悲しがったり、家を出た山田さんが相河を想って涙したり……お涙頂戴的な演出ってありがちかと思いますが、この作品はそういった“媚び”をせず、視聴者の想像に全てを委ねているところが、ドラマを見た人の満足度が高い理由なのかなあと思いました。相変わらず視聴率は低いですけど。
■ドラマタイトルの伏線回収。残るは……
「最終回」といってもおかしくない展開で、相河と山田さんの会話から、ドラマのタイトルの伏線も回収された第8話。残る伏線は、相河にゾッコンな生徒・青山琴音(矢作穂香)の恋心と、実家のコンニャク屋を継ぐか・継がないかで迷っている新庄龍太郎(西畑大吾/関西ジャニーズJr.)の進路、沼袋先生(児嶋一哉)の素顔といったところでしょうか。
今夜放送の第9話の予告を見ると、青山が相河に告白をしたり、相河が水本先生に「僕は、水本先生のことが……」と言ったり、ラブ展開が動きそうな予感。今話で元彼・雅也(和田琢磨)に自分の素直な気持ちをぶつけ、元サヤに収まるかと思いましたが、別れることを選んだ水本先生。ただ、山田さんに、相河との関係をキッパリ否定していただけに、2人がくっつくことはないように思いますが、果たして……。
(文=どらまっ子TAROちゃん)
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