『下町ロケット』第8話 シニア向け回春誌「週刊ポスト」が大スクープ!? イモトアヤコはプー生活
#ドラマ #TBS #下町ロケット #阿部寛 #どらまっ子
■しゃぶりつく軽部とリアルに悩むイモトアヤコ
今週の軽部の時間です。「佃製作所」きっての変人・軽部(徳重聡)の言動をチェックしてみたいと思います。第8話は軽部の出番が思いのほか多く、軽部ファンにはうれしい回となりました。北海道農業大学の野木教授(森崎博之)の監修のもと、「佃製作所」でも独自に農業ロボットを開発しています。試作機の性能が思うように上がらず、焦る立花(竹内涼真)は軽部に協力を求めるのでした。そんないきり立つ立花をいなすように、軽部は「お昼になったので、メシに行ってきま~す♪」と相変わらずのあまのじゃくぶりです。実用化までの長い長い開発をモノにするには、軽部のようなマイペースさは大切です。しょげる立花を、「北海道はうまいもんがいっぱいあるからな」と技術部の山崎部長(安田顕)が肩を叩いて励ますのでした。
トランスミッションの開発と同様に、軽部の扱い方もなかなか難しいものがあります。軽部が昼食をしっかり摂る派であることを理解したアキ(朝倉あき)は、「とのむらのお米」で炊いたご飯でおにぎりを作ってきました。タコさんウインナーと卵焼きがおかずです。アキが「軽部さんもどうぞ」と言い終わるやいなや、軽部は瞬時に手を伸ばしておにぎりを頬張ります。「いただきます」も「ありがとう」も言わない軽部ですが、自分が作った料理を美味しそうに食べる姿にアキは満足げです。意外と軽部は母性本能をくすぐるタイプかもしれません。男くさい職場で、アキが眩しく輝く第8話でした。
イモアトアヤコ演じる天才エンジニア・島津のその後の動向も気になるところです。伊丹社長がダースベイダー化してしまったため、「ギアゴースト」を退職するはめになった島津は、第7話ではボウリング場で孤独さを噛み締めていました。しばらくプー子状態だった島津ですが、貯金も限りがあるのか就活を始めます。企業間の権力闘争に巻き込まれるのが嫌で大学の研究職を探す島津ですが、思うような仕事は見つかりません。カレンダーを見ると、週1ペースでいろんな大学の面談を受けていることがうかがえましたが、反応は思わしくないようです。
暇を持て余した島津は「アグリジャパン」の会場に出掛けたものの、自分が設計したトランスミッションを内蔵した「ダーウィン」の活躍を目の当たりにしても、笑顔にはなれません。エンジニアとして純粋な情熱を注いだトランスミッションを、「帝国重工」への復讐の道具として利用されたのがつらいのです。
単なる偶然でしょうが、イモトアヤコのホームグラウンドとも言うべき『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)はヤラセ問題で番組の存続が危ぶまれています。プー子となり、自分の将来に不安を感じている島津の姿が、現実のイモトアヤコと重なって映ります。これまで通りにバラエティー番組を主戦場として続けていくのか、それとも女優業へシフトチェンジするべきか。イモト自身も自分のこれからの進路に悩んでいるのではないでしょうか。
第8話の視聴率は11.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と、先週の12.0%からさらにワースト記録を更新。『M-1 グランプリ』の17.8%に、あっさり破れてしまいました。佃社長たちが密かに開発する理想の農業ロボットは、「帝国重工」と重田たち「ダーウィン・プロジェクト」との骨肉の争いにどのような形で割り込んでいくことになるのか。最終回まで残すところ、あと3話。佃社長が新型ロボットの開発によって日本の産業を新次元のものへ変えようとしているように、TBSのドラマ班も視聴率に惑わされない新次元のドラマづくりに挑戦してほしいと思います。
(文=長野辰次)
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