嵐の中、人は本当の気持ちを叫び続ける――佐々木蔵之介主演ドラマ『黄昏流星群』第8話
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父親と娘の関係というのは、微妙なものである。当然「肉親」としての情はあるだろうが、一方で、年頃になると父親を嫌ったり、避けたりする人が多くいるのも事実だ。同じ「異性の親」であっても、母親と息子の関係は、もっとドライな感じがする。それとはまた違った感情が、父と娘にはあるのだと思う。
ドラマ『黄昏流星群』(フジテレビ系)第8話では、父親に対する娘の感情がひとつ露わになった。
瀧沢家に嵐がやってきた。それぞれが胸の内に秘めていた思いが一気に吹き出し、緊張の中でも平穏を保っていた三人の関係が崩れ去った。家族とはこれほどまでに脆く、壊れやすいものだったのだろうか。
結婚を前にして、不倫相手の大学教授・戸浪(高田純次)とともに失踪した、娘の美咲(石川恋)。二人の関係を知らなかった母親の真璃子(中山美穂)は驚くが、なにより、夫の完治(佐々木蔵之介)がそれを知っていたにもかかわらず、黙っていたことにショックを受ける。
美咲の婚約者・日野(ジャニーズWEST・藤井流星)の元に謝罪に行く完治と真璃子。全てを知っていた日野は大人の対応をするが、彼の母・冴(麻生祐未)の怒りは激しく、帰ろうとする完治と真璃子に塩を撒く始末。二人はただただ謝るしかなかった。
冴にしてみれば、病に冒され、残り少ない命の中で、ようやく見届けられると思っていた息子の結婚がなくなったのである。絶望と怒り、そして悲しみは十分に理解できる。
一方で、完治と栞(黒木瞳)の関係も、微妙な時を迎えていた。美咲から「父と別れて欲しい」と言われた栞が、完治に別れを告げ、避けるようになったのだ。「どうして会ってくれないのか?」と問う完治に、「今の職場が気に入っている。社内で変な噂が立って辞めるようなことになったら困る」と答える。
これは、本心なのだろうか。それまで、栞は「瀧沢さんのご迷惑になるから……」と言い続けてきた。おそらくはこちらが本心なのだろう。しかし、相手を慮る言い方では、別れてもらえないと考えた。だからこそ、今回は、「自分が困る」、「自分のことを思ってくれるなら別れて欲しい」と、自分の気持ちに嘘をつき、別れを突きつけたのだと思う。
完治の家庭では、真璃子が少しずつ本音を話すようになっていた。娘のことをあまり心配していない様子の完治に、「他になにか気になることがあるんじゃないのか?」と、栞の存在を匂わすようなことを言うのだ。
そんな時、瀧沢家を戸浪の妻・和代(松本留美)が訪ねてくる。
往年のドラマファンなら、ここで「おおっ!」と思ったのではないだろうか。松本留美といえば、かつてドラマで数々のクセのある役を演じてきた、名バイプレーヤーである。今回のような、「夫の不倫相手の家に乗り込む」などというシチュエーションは、彼女にとってはお手の物であろう。思った通り、彼女は「絶対に離婚はしない」と言い切る、気の強い妻役を実に見事に演じていた。
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