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じゃまおくんのザオリク的マンガ読み

突然の”三国志談義”にもスマートに対応! サクッとわかる『三国志』入門講座

■三国志好きが言いがちな有名イベント、用語

 三国志談義にいっちょ噛みするためには、人物だけでなく、ある程度の有名イベントや用語を理解しておく必要があります。とりあえず下記のキーワードを覚えておくと、ちゃんと『三国志』読んでる感が出せるのでおすすめです。

桃園の誓い…劉備が関羽、張飛という超絶ケンカに強い2人の豪傑と意気投合し、「桃園の誓い」という「オレたちの絆は一生、死ぬ時は一緒」みたいなブラザー感あふれる義兄弟の契りを交わした『三国志』初期の有名イベントです。

 この契りは、3人の義兄弟の固い絆を示す美しいエピソードとして語られることが多いのですが、作品後半で関羽が死んだ後、張飛や劉備は冷静さを失い、後を追うように死んでしまうことから、個人的にはむしろ、何かの呪いの一種なんじゃないかという気がしないでもないです。

三顧の礼…劉備が天才軍師・孔明を自分の軍にスカウトするために、何度も孔明の家に出向き、一度目は不在、2度目も不在、3度目になってようやっと孔明に会うことができたのですが、孔明はわざわざ3回も会いに来てくれた劉備に感激して仲間になってくれたというエピソードです。ビジネス書なんかを見ると、「三顧の礼」の精神こそ究極の営業術だ! みたいなことが書いてありがちですが、今はスマホもありますし、ちゃんとアポを取って会いに行くべきだと思います。

赤壁(せきへき)の戦い…基本的に『三国志』は、最大勢力である曹操の魏軍をいかにやっつけるか、劉備の蜀軍や孫権の呉軍がいろいろと頭を悩ませる話ですが、最強であるはずの曹操が、一度完膚なきまでにやられてしまう有名エピソードが「赤壁の戦い」です。

 曹操率いる魏軍が、呉軍の火計によってボッコボコにやられてしまうのですが、その決め手となったのが、孔明が儀式によって呉軍に有利な「東南の風を吹かせる」というものでした。実際には、孔明はこの時期に東南方向に強風が吹くことを知っていたのですが、わざわざ祭壇で儀式をやって、さも孔明が神風を起こしたように思わせたのです。こんなスーパーイリュージョンを見せられたら、誰もが孔明のことを神だと思っちゃいますよね。

孔明の罠…中華全土の武将や軍師たちを戦慄させるのが「孔明の罠」です。とにかく孔明は敵の作戦の裏の裏の裏の裏ぐらいまで読んだ上で、トリックを仕掛けてくるので、敵はほぼ100%の確率でまんまと孔明’sトラップにやられてしまうのです。孔明に対峙する相手は、何度も罠にハメられているうちに疑心暗鬼になってしまい、“孔明のことだから絶対何か罠を仕掛けている”と考えて身動きが取れなくなってしまうのです。

 ちなみに、後半に出てくる孔明の最大のライバル、司馬懿の「待てあわてるな、これは孔明の罠だ」というセリフはLINEスタンプになるほど有名です。

「ジャーンジャーンジャーン」「むむむ」「げえっ」…この3つは『三国志』の頻出フレーズです。「ジャーンジャーンジャーン」というのは、敵に攻撃を仕掛ける際に、ドラを一斉に鳴らして相手を混乱させる時の音です。「むむむ」と「げえっ」は作品中の有名武将たちがこぞって言うセリフで、用途としてはそのまんまなのですが、ネタとして「むむむ」と「げえっ」がやたらに多いマンガだということは知っておいたほうがよいでしょう。

■劉備玄徳? 諸葛亮孔明? 呼び名の謎

 ネット上の三国志関連の記事を見ていると「劉備玄徳」とか「諸葛亮孔明」という表記を見かけます。劉備が名字で玄徳が名前だから当然でしょ? と思うかもしれませんが、実はこれは間違いです。

 当時の中国人の名前は「姓・名・字(あざな)」と分かれているのが一般的で、「劉・備・玄徳」や「諸葛・亮・孔明」のように分割されるのですが、TPOに合わせて「姓&名」か「姓&字」の組み合わせで呼ぶのがルールなのです。

『三国志』では特に解説もなく「劉玄徳」とか「諸葛孔明」「諸葛亮」などの呼び方が出てくるので、誤植かな? と思ってしまうのですが、実はこれが正しい表現なのでした。「劉備玄徳」とか「諸葛亮孔明」とか得意げに言っちゃってる人は実は間違っているので、心の中でほくそ笑んでやるのがいいと思います。

 というわけで、時間がない人が上っ面だけ知るための、横山光輝『三国志』入門講座でした。これで、突然の同僚の三国志談義にもバッチリ対応できるはず……なのですが、曹操が主人公のマンガ『蒼天航路』の話をされると全然通用しないことが先日判明しましたので報告しておきます。こういう時は「孔明の罠」だと思ってあきらめるしかありませんね。

(文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん <http://ablackleaf.com/>)

◆「ザオリク的マンガ読み」過去記事はこちらから

最終更新:2019/11/07 19:28
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