噓を嘘だと知りながら、人は誰かに噓をつく――佐々木蔵之介主演ドラマ『黄昏流星群』第6話
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同じような思いは、美咲の不倫相手である戸浪(高田純次)も抱えていた。美咲との関係を終わらせようと、完治は戸浪の元を訪ねる。戸浪は、勤務する大学近くのアパートに一人で暮らしていた。妻にはとっくに見放されており、研究に没頭して生きていたのだ。美咲との関係を問い詰める完治に、戸浪は言う。
「人間として別の軌道をたどっていたが、2人の軌道が何万分の1の確率でたまたま重なっただけ。一瞬だがかけがえのない時間だった」
そんな戸浪の話を聞き、完治は自分と栞との出会いを思い出す。完治の中で、戸浪への感情が変わっていく。
完治の出向した荻野倉庫では、財政状況が苦しくなっていた。近くに新しい設備の倉庫ができ、そこに顧客を取られていたのだ。課長の川本(中川家・礼二)は、完治に「若葉銀行に融資をお願いしてほしい」と依頼してくる。審査のため本店へと行った完治だったが、担当者からはにべもなく断られる。融資部長に出世した同期の井上(平山祐介)にもお願いしてみるが、必要な費用までは程遠いものだった。
一方、美咲の代わりに、日野とともに結婚式場の下見に行った真璃子。そこで、真璃子は、美咲には他に好きな人がいて、それを日野にも正直に話していることを聞かされる。「それでいいのか?」と問い詰める真璃子に、日野は、自分も他に好きな人がいること、そして、それが真璃子であることを告白するのだ。
ここでもまた、全く違う軌道をたどってきた2人の気持ちが重なる。いや、まだ厳密には日野の一方的な思いかもしれない。しかし、真璃子もまたその思いに心乱されている。
そんな時、荻野倉庫から真璃子に連絡が入る。完治が社内で事故に遭い、病院に運ばれたというのだ。病室に向かう2人。幸い怪我は大したことがなさそうだった。安心して楽しげに言葉を交わす完治と真璃子を、日野は複雑な思いで見つめるのだった。
その後、出張に行っていたはずの美咲も病院に駆けつける。そこで完治に、出張は噓で、戸浪と金沢に行っていたことを告白する。完治は、戸浪と別れるよう諭す。納得した美咲は、そのかわりに完治に栞と別れるようにお願いするのだった。
今回は、見ていてなるほど、と思ったシーンがいくつかあった。一つは、栞の家で目を覚ました朝、完治が朝食を共にし、栞手作りの漬物の美味しさに感動する場面。この翌日、自宅での夕食をとるシーンがあるのだが、完治は明らかに既成品と思われるたくあんを、味気なさそうに食べる。この対比が面白い。自分の家庭のありふれた幸せと、栞との他には無いような幸せを、漬物という小道具で表現しているようだった。
そして、もうひとつは、完治が戸浪のことを話す時の呼び名である。最初美咲に対し「あいつ」と言っていたが、戸浪と話をし、どこか彼の心情をわかるようになった後は、「先生」と呼んでいるのだ。これは、戸浪のことも、そして美咲の思いも配慮することができるようになった完治の配慮が表われていると言っていいだろう。このような仕掛けが今後も見られることを期待したい。
さて、いくつもの秘密が明らかになり、それを知ることでまた秘密ができてくる。今の段階で、一番知られていない秘密は、日野の真璃子に対する思いだ。これだけはまだ完治にも美咲にも知られていない。幾重にも重なった噓と真実の間で、完治たちはこれからどんな軌道をたどっていくのだろう。
(文=プレヤード)
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